研究内容
研究内容の概略
弾性表面波(Surface Acoustic Wave: SAW)は,弾性体の自由表面に沿って伝搬する導波(Guided Wave)であり,代表的なものが1885年頃Rayleighによって理論的に証明されたレイリー波です.
古くから材料の非破壊評価などに応用されてきましたが,1965年に「すだれ状電極(Interdigital Transducer: IDT)」の発明によって圧電基板上で効率良く波の送受波が出来るようになり,フィルタ・遅延線・共振器・コンボルバなど様々な信号処理機能デバイスに応用されるようになりました.
小型,高信頼性,高安定性などの特徴を活かし,TV・VTR・BSチューナーのフィルタ,携帯電話・カーナビなどの移動体通信用のフィルタ,デュプレクサ,ETC用フィルタ,CATV用フィルタ,無線LANなどに実用化されており,私たちの高度情報化社会を支えています.
近年,特に移動体通信の需要増大に伴い,SAWデバイスの高性能化が要求されています.そこで,私たち垣尾・鈴木研究室では,
u 高周波化のため => 位相速度が速い
u 広帯域化のため => 圧電性が大きい
u 温度安定化のため => 温度特性が良い
SAWモード,基板構造,薄膜材料について研究を行っています.
一方,光導波路を伝搬する導波光(Optical Guided Wave: OGW)と弾性表面波との音響光学相互作用(Acousto-Optic
Effect: AO Effect)を利用した導波路型AOデバイスは,波長可変フィルタや光周波数シフタを構築できるというAO効果特有の特徴に加え,バルク型光デバイスと比較して,駆動パワーが低い,設計自由度が高いなどの特徴を有しているため,幅広く研究がなされています.
垣尾・鈴木研究室では,ブラッグ回折を基本とするコプレーナ形の導波路型AO変調素子(AO Modulator: AOM)の研究を行っており,光波長帯域が広い,応答速度が速いという特徴を利用して,ユニークなAOデバイスを開発しています.
u 長波長(1.55mm)レーザー光の光周波数を,極低周波から250MHzまでシフト可能なタンデム光周波数シフタ
u 三原色(Red, Green, Blue)のレーザー光を,一つのAOM,同一周波数,低駆動パワーで変調可能な,高速・広帯域可視光変調素子
最近の研究テーマの詳細
u 異種・同種材料接合を用いた漏洩弾性表面波・縦型漏洩弾性表面波の高結合化・低損失化
u 酸素ラジカル源を有する高周波スパッタ法による圧電性Ta2O5薄膜の作製
u タンデム光周波数シフタと周波数シフト帰還型レーザーへの応用
u 高速・広帯域可視光変調素子とRGB光同時変調システムへの応用
研究方針
@頭と手と足(Footwork)を使った研究
A「ものづくり」の楽しさ
B理論解析:実験的解析=50:50のバランスの取れた研究手法