シャルル・ペロー(Charles Perrault:1628-
1703)著『教訓付きの昔話集〜がちょうおばさんの話』(Histoires
ou contes du temps passé. avec des moralités : Contes de ma mère l'Oye,1697)。
1697年バルバン書店版にあるクロズイエの版画。
テレビのワイドショーはホットなありのままの事実を報告するという建前になっているが、できるだけ多くの消費者(読者・視聴者)に「事実」を味わわせるために相当な味付けがなされている。悪者扱いされた人物には義憤にかられた手紙が殺到する。「勧善懲悪」は物語消費者の感情を有効にコントロールする隠し味なのだが、それが利くためには悪玉
が何としてでも必要になる。客観的な情報を提供するはずのニュースもワイドショー化するにしたがい、悪玉を必要とするようになった。本来ならば権力者として悪玉側にやられるはずの首相でさえ、「改革」を唱え、さらにその改革に反対する勢力を指さすという巧妙な身ぶりにより善玉の地位を得てしまう。政治すら、いとも簡単に物語化されるのだ。ある大国の大統領にいたっては、evilという正に勧善懲悪ストーリーに不可欠な形容詞をかってはソ連に、最近では一国の指導者に冠し、世界を泥沼の物語に引きずり込んだ。戦争はお伽話として語られる(正当化される)。ならず者(フセイン)にレイプされた無垢のヒロイン(クウェート)を救うのはヒーロー(アメリカ)に他ならない("Metaphors
can kill"という印象深い文で始まる、湾岸戦争時の政治場面におけるメタファー分析についてはG.Lakoff, "Metaphor
and War: The Metaphor System Used to Justify War in the Gulf"を参照)。