文化の受容と変容:講義用資料

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西洋
フランス
日本

古代〜

12世紀以前

  • 基本的には男尊女卑
  • 古代ローマの同性愛についてはここ
  • [世俗]結婚の社会的条件:結婚は家と家の絆(=民事的な契約)
    • 古代ゲルマンのムント(=家父長権)結婚:[儀礼]父親が娘を花婿に渡す
      • 和合結婚(フリーデルエーエ)の教会による禁止(9世紀)。
  • [宗教]性欲=原罪説
    • 「神は愛なり」『ヨハネの第1の手紙』 caritas> cupiditas
    • アウグスティヌス
  • [宗教]緊急避難としての結婚: キリスト教では、基本的には肉欲を忌避する。 したがって、結婚は子供を生むためのやむおえない手段としてのみ認められる(性の三要素[欲望、行為、生殖]のうち欲望を否定)。
    • 聖パウロによる5つの大罪
    • 聖ヒエロニムス:夫婦での肉体をともなう愛の排除
      • 「自分の妻を激しく愛する者は姦淫を犯したことになる」
      • 情熱は悪魔の所行
    • テルトゥリアヌスによる5段階(3世紀)
  • [宗教]旧約聖書の解釈:イヴの原罪→男への服従+出産の苦しみ→女性蔑視(1)
    • マコン公会議(581):「女性は理性的存在として分類されるべきか、それとも獣として分類されるべきか、また女性は魂をもっているか」
    • マルボード(12世紀):「女は悪魔が人類にしかけた最悪の罠であり、あらゆる悪の根源」
    • クリュニー修道院長(10世紀):「女の美しさは皮膚の中にまではおよばない。もし男たちが皮膚の下に見ることがあれば、女性を見ることは反吐をもよおさせるだろう。われわれが指先で痰や糞にふれないのに、どうしてわれわれは、この<肥溜め袋>を抱くことができようか」
  • [宗教]マリア信仰:処女崇拝(クリュニー改革、グレゴリウス改革) →女性崇拝(1)
    • イヴ=処女性の喪失・楽園追放
  • [宗教]新しい女性像の展開
    • 悔悛運動(11世紀)隠修士:マグダラのマリアのモデル化(娼婦のための修道院)
    • 異端運動:清貧・貞潔、カタリ派の半数近くが女性、男女の霊性の平等
  • 12世紀以前の文学

 

  • 文学
    • 『万葉集』の相聞歌
    • 『古今和歌集』
    • 『伊勢物語』
    • 『源氏物語』
12世紀以降
  • [宗教]キリスト教における新しい考え方
    • 崇拝としての愛から相互的な愛へ
    • 人間としてのイエス
  • [経済]農業革命(大開墾運動)
  • [非宗教]愛の誕生(女性の理想化・男女の愛そのものの目的化) →女性崇拝(2)
    • 宮廷風恋愛=霊的でもありうる肉の合一
    • ギョーム・ダキテーヌ9世(Guillaume d'Aquitaine IX
    • 「愛は12世紀に生まれた」セニョウボス
    • 「ところが、ある日、すべてが変わってしまう。恋をし、恋にやつれるのは今度は男の方なのだ」アンリ・ダヴァンソン
    • 「恋をすれば猛々しい野卑な男も立派な人物になり、どんなに卑しい身分の男も高貴な人格を身につけるようになる」
    • 「恋は、異性の美しい姿を見て想いを深くするところから生ずる、生得の苦悩である」
    • 騎士の一生
  • [宗教]キリスト教的結婚の成立:教会で結婚式をあげることが一般化される[儀礼]司祭が新婦を新郎に手渡す(両者の手を握らす)
  • [宗教]1215:第4回ラテラノ公会議
    • 成人男女の告解の義務づけ(1年に1度以上)→個人意識の誕生
  • [宗教]聖女の誕生
    • 中世初期〜13世紀:貴族出身の修道女(特に修道院長)
      • 女子修道院=「家族の修道院」:貴族の自己防衛、男性からの自由
      • 男装する聖女:より高い霊性の獲得→女性蔑視の反映
    • 13世紀以降:神秘主義的、聖なる拒食症→汚れの浄化+聖体パン(キリストとの直接交渉:エクスタシー)、神秘体験(コスモロジック、疑似恋愛、想像妊娠、聖痕、出乳、叫び、涙)
ルネッサンス
  • 魔女の捏造:fairy→witch →女性蔑視(2)
    • 農村社会の呪術的思考:民間医療、恋愛
    • 都市エリートの妄想:呪術的思考の魔女化
    • 14世紀〜:悪魔学の発展、異端審問官(Bernard Guy)
    • 「魔女の槌」1486: 大ベストセラー(活版印刷術の貢献)
      • 性についての書物:女性の性についてすべて知りたいという秘められた願望の公に裁可された姿 
      • 魔女の徴:淫乱性、薬[毛剃り]、無痛覚[針]、自白[拷問]
  • 16世紀〜17世紀中葉:魔女狩りの猖獗
    • 宗教改革
    • 共同体内部の危機(中世的世間→資本主義的階層対立)
    • 絶対主義[司法制度]確立への貢献

 

  • フロイス『日欧文化比較』
    • 「日本の女性は、処女の純潔を少しも重んじない。それを欠いても名誉も失わなければ結婚もできる」
アンシャン・レジーム
  • [宗教]15世紀以後、避妊手段を講じないという条件つきで、夫婦間での性欲を許容(性の三要素[欲望、行為、生殖]をすべて夫婦間では認める)。 多産も奨励。

井原西鶴「浮世草子」

  • 1682『好色一代男』

衆道

18世紀
(啓蒙時代)

近松門左衛門の世話物

  • 1703『曽根崎心中』
  • 1720『心中天網島』

忍ぶ恋「恋の極は忍恋と見立て候、遭ひてからは恋のたけが低し、一生忍んで思ひ死すること恋の本意なれ」山本常朝『葉隠』(1710年頃)

19世紀
  • スタンダールの『恋愛論』: 結晶作用
    • 4つの類型:情熱的恋愛、趣味恋愛、肉体的恋愛、虚栄恋愛
  • 宿命の男(バイロン)から宿命の女(femme fatale)へ

 

1871:通婚の自由→自由恋愛

20世紀

粋(媚態)

 

参考文献:

 

 


古代ローマの同性愛

 


性=原罪説:純潔の称賛

アウグスティヌス

 

緊急避難としての結婚

 

テルトゥリアヌスによる5段階(3世紀はじめ):望ましい→望ましくない

  1. 生涯童貞
  2. 禁欲の結婚
  3. もっぱら子供を生むためだけの結婚における性交
  4. 快楽のためにする結婚の性交
  5. 再婚者の性交と婚外の性関係

結婚内での欲望の処理を姦通などを避ける防波堤として次第に認めるようになる。
婚姻内でセックスが許される条件:1)子供をつくるため、2)婚姻時の契約履行のため(相手が求めた場合?)、3)(13世紀以降)罪深い欲望を抑えるため(の防波堤として)→聖パウロ「コリント人への手紙」参照


キリスト教における新しい考え方(12世紀):

人間としてのイエス、歴史的イエス:

キリスト教的結婚の成立:

夫婦での性欲の許容


『ローランの歌』における許嫁オードの扱い

「ローランは死に際して、かなりの間、自分の剣や戦友、王のことや財産のこと、自分の死後の霊について、思いを巡らしているのだが、許嫁のオードのことは全く思い出していないのである。しかしオードは、ローランが亡くなったと聞くとそのまま息絶えてしまった。まちろん、これは戦いの詩であり、ヴェヌスではなく、マルスに捧げられたものだから、女性の描き方に問題があるのは当然かも知れない。」阿部謹也『西洋中世の愛と人格』

騎士の一生

「家は、子孫をつくる夫婦一組だけを守るために、もっぱら建てられているのだ。中央に寝室が位置し、寝台が置かれている。[・・]この寝室からは、もう一つの部屋が見渡せる。それは、この寝台から生まれた子供たちが、七歳になるまで皆一緒に育てられる部屋である。[・・]小さな子供としての年齢をすぎると、ふつう男の子は父親の家から離れる。男の子にとって父親の家は、通過点でしかないのであって、彼らの生は別の所でてんかいするのである。[・・]少年たちを修道生活にしむける場合には、肉欲の世界からは厳格に離別した、閉じられた集団へ。在俗の聖職者に仕向ける場合には開放的な集団で、この場合には明らかに、禁止にもかかわらず、性的な面で活発な集団であった。その他の男の子たちの教育は軍事教育であって、一般には別の城館、父親の主君の城館でおこなわれる。[・・]少年たちがやがて二十歳になると、主君は彼らを騎士に叙す。[・・]その後、彼らはどうするのか。[・・]もし父親が非常に年老いていて、巡礼に出ることを受け入れたり、修道院にこもることを認めた場合、[・・]要するに、寝室が、寝台が、自由になる状態である場合には、ふつうかなり以前に婚約を結んでいる長男が、結婚式をあげることになる。[・・]しかし年下の兄弟たちは「若人」「独身」であり続け、「諸家」の境界域で、争乱と混乱の空間のなかで、冒険にみちた放浪の生活を送り続ける。あの騎士道物語が称揚する、放浪と冒険。この放浪生活のなかでも極めつけの機会は、軍勢を集めての閲兵式と騎馬試合への参加である。その機会に、獲物と栄誉と快楽とが手にできる、と期待されたのである。家系の婚姻戦略ゆえに独身であらざるをえなかった、これらの男たちの性行動もまた、野放しで略奪的であった。[・・]しかしこれらの「若人」みなの頭には、一つの考えしかなかった。すなわち、だれか領主の妻を奪い取って寝台におさまり、権力の地位に、そして既婚の男にのみ許される自立にと、たどりつくこと。だからこそ、騎士道の行動モデルにおいて、すなわち「宮廷風みやびの愛」において、愛を誇示する儀礼が重視され、貴族のイデオロギーの核心で、誘惑という、誘拐の洗練された形式が称揚されることにもなる。(ただし)大部分の騎士は、独身のうちに死んだのである。」」G・デュビー『愛と結婚とセクシュアリテ』365-6


女性の理想化・男女の愛そのものの目的化

ギョーム・ダキテーヌ9世

「この勢力ある君主は教会と宗教に対して行った彼の不敬によって同時代の人々と一線を画している。また彼は、長い間女性に対して破廉恥な放蕩をひけらかせて喜んでいた。まず彼はフォントヴローが直々の女性のとりまき連中に与えた爆発的成功を詩歌のなかで嘲笑することから始めたが、その後は当時すでに近代主義の萌芽が見られる卓越した詩のなかで、世俗のあいだで起こる神秘主義の徴候を示している。それから愛の高揚のすばらしい兆し、そこでは女性は急に純化され、夫婦間では君主のごとくなる。ここで宮廷恋愛ははじめて確立されたのである。」リタ・ルジューヌ『中世を生きぬく女たち』p.198

宮廷風恋愛

 


夫婦愛(18世紀)

結婚自体は二人の個人の結びつきというよりは二つの家族の血統・財産の結びつきであったが、現実には夫婦愛はどの時代にもおそらくあったはずである。ただし、情熱としてではなく、静謐な、持続にたえうる感情として。しかし、フィリップ・アリエス(Ph. Ariès,"L'amour dans le mariage", in Communications 35, pp116-122)によれば、そうした感情は語られることはなく、個々の例はあったにしろ、一般的なモデルにはなりえなかった。教会は秘蹟である結婚にエロチシズムを持ち込むことを禁じており、エロスは結婚外の男女関係で花開くことになる。宮廷風恋愛の誕生はそうした教会のイデオロギーと軌を一にするものであった。ところが18世紀に「夫婦愛 amour conjugal」が規範として確立される。しかも、以前から存在しながら語られなかった感情があらたに語られるようになったのではない。情熱恋愛(エロス)が結婚に接ぎ木されたのである。中世の教会は夫婦が愛人のように愛し合うことを禁じた。18世紀以後の西洋では、今度は逆に夫婦になっても愛人のように愛し合い続けなければならないという倫理規定が構築されたことになる。

「現代社会はもはや、欲望と愛の欠如した結婚、否、結婚状態の持続すら受け入れない。また逆に、結婚こそ愛の必然的帰結と固く信じるわれわれの間では、不義の愛から離婚へ、そして再婚へと通じる場合がますます多くなっている。」(ジャン・ルイ・フランドラン「性と歴史」新評論、102頁)。

ちなみに「恋愛結婚 mariage d'inclination」という表現がフランス・アカデミーの辞典に登場するのは革命暦6年(西暦1797/98)のことである(同上、109頁)

 

ロマンチシズム

 

結晶作用(スタンダール)

 

Femme fatale


フロイス『日欧文化比較』

「ヨーロッパでは財産は夫婦のあいだで共有である。ところが日本では各人が自分の分を所有している。ときには妻が夫に高利で貸し付ける」「ヨーロッパでは妻を離別することは最大の不名誉である。日本では意のままにいつでも離別する。妻はそのことによって名誉を失わないし、また結婚もできる。日本ではしばしば妻が夫を離別する」「日本では娘たちは、両親に断りもしないで、一日でも数日でもひとりで好きなところへ出掛ける。日本の女性は夫に知らせず、好きなところに行く自由を持っている」「日本では、堕胎はきわめてふつうのことで、二十回も堕した女性がある。日本の女性は、赤子を育てていくことができないと、みんなのどの上に足を乗せて殺してしまう」「日本では比丘尼の僧院はほとんど淫売婦の町になる」


粋道と恋愛


自由恋愛


伊藤整「近代日本における『愛』の虚偽」:他我のシンメトリーという(西洋的)虚構=主我的人間が信仰という媒介を用いて構築

男女の間の接触を理想的なものたらしめようとするとき、ヨーロッパ系の愛という言葉を使うのは、我々には躊躇われるのである。それは「惚れること」であり、「恋すること」、「慕うこと」である。しかし愛ではない。性というもっとも主我的なものをも、他者への愛というものに純化させようとする心的努力の習慣がないのだ。

 


動物行動学的に(ヘレン・E・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか:結婚・不倫・離婚の自然史』)