記号とは何か(2)

デノテーションとコノテーション

 

デノテーション

コノテーション:りんご、タバコ、こめ、木、メガネ

記号とは何か(1)

記号とは何か(3)

モノから記号へ

リンゴという記号1

言語記号には表現相(記号表現 SA)と内容相(記号内容 SE)がある。たとえば、[ringo]という音は表現だが、その音を聞いたとき日本語話者が思い浮かべる心象(リンゴ)がその内容になる。これはモノ(林檎)そのものではない。内容とは話者が日本語能力を獲得するうえで身につけた観念であり、文化的な意味、あるいは話者の個人史的意味までも含んだ複雑な観念、要するにイミ(SE)なのである。イミは果 たして辞書にでているだろうか。試しに『広辞苑』を引いてみよう。

「バラ科の落葉高木、およびその果実。中央アジア原産、北半球温帯・冷帯の代表的果 樹。日本には明治初期に導入。幹の高さ約3〜9メ-トル、葉は楕円形で白毛が多い。春、白色の5弁の花を開き、果 実は円形、夏・秋に熟し、味は甘酸っぱく、食用。品種が多く、ミカンに次いで多く生産される。」

これは事典的説明(=林檎)であり、ふつうの日本人が[ringo]という音で連想する辞書的イミ(=リンゴ)ではない。

西洋的な文脈に慣れた人はアダムとイブの連想から性的なイミ[禁断の木の実]を読みとるかもしれないし、幼い頃に落ちた林檎が頭にぶつかったというトラウマをもつ人は、[ringo]という音を聞いただけで卒倒してしまうかもしれない。美空ひばりの熱狂的ファンならば、[ringo]で「りんご追分」の郷愁を誘う哀しさを感じ取ってしまうことだろう。彼(女)にとってはそれが[ringo]のイミなのだ。かって貧しい時代を過ごし、空腹で死にそうなときに誰かがくれた林檎に命拾いした人は、[ringo]と聞くと反射的に涎が分泌するだろう。これもまたイミである。したがって、イミに涎を出すことはできても、食べることはできない。

 

[ringo]の内容相1:1次的内容[本質的]

デノテーション

 

[ringo]の内容相2:2次的内容[派生的]

コノテーション

各文化コンテキストで リンゴ が持ちうる二次的な(共同主観的な)意味

日本におけるコノテーション

  • 健康・美容によい
  • 「りんごの歌」:あーかーいりんごーにーくちびーるよーせーてー[口唇性]
  • 「りんご追分」:リンゴの花びらが風に散ったよな、月夜に月夜にそっとえええ、つがる娘は泣いたとさ、つらい別れを泣いたとさ、リンゴの花びらが風に散ったよなあああ[哀愁]

 

西洋におけるコノテーション

  • アダムとイブの連想から性的なイミ[禁断の木の実]
  • 健康 : An apple a day keeps the doctor away.
  • apple of one's eye= cherished person or thing
  • ウィリアム・テル
  • the Big Apple = New York