Research 2005





2005年度 卒業論文

「住民による自主防犯活動の実態に関する研究
  〜山梨県を対象地として〜」
(佐成屋匡哲)

防犯まちづくりのソフト面からの充実を図るため、近年盛んに行われるようになった自主防犯活動を通して、活動の問題点や成功例をまとめることにより、有効な活動を行うための要素を抽出した。



「地方都市郊外農村部における土地利用変化とその要因に関する研究
  〜山梨県南アルプス市を対象にして〜」
(松本 真介)

環境負荷の少ない土地利用形成に向けて、地方都市郊外農村部における土地利用変化の実態を把握し、その主な要因である農地売却・貸借の過程を考察した。



「郊外幹線道路における屋外広告物規制のための実態把握
  〜山梨県アルプス通りを対象として〜」
(山岸 鑑頌)

山梨県甲府盆地の主要幹線道路アルプス通りにおける屋外広告物の実態把握を行い、それによって導かれた「広告物の高さ」「広告物の色」「広告物の大きさ(面積)」などが景観に与える影響を導出し、どのような屋外広告物規制のかけ方が有効であるかを検討する上での基礎資料を提示した。






2005年度 修士論文


「農村集落における伝統的な民家様式の継承について−ふつうのまちの景観形成のための基礎的研究−」(宗像 路子)

  戦後の日本は経済活動を偏重し、地域の風土や歴史と連続した景観を破壊してきた。今後は、歴史との連続を考えながら景観創造を行うことが必要であり、さらに、その創造は住み手の内発的な活動によって作り上げられるべきである。伝建地区や新市街地では町並みのイメージを明確にしやすい。しかし、その他の多くの地域(ふつうのまち)は歴史が重層し分断し、歴史の系統的な連続性が見えにくくなっているため、地域の町並み景観の方向を導くのが難しい現状にある。  本研究はこのような背景のもとで、開発の波にさらされ歴史の連続が見えにくくなってしまった地方都市郊外の農村集落の民家景観を対象として、現在の民家様式の実態を類型的に明確化するとともに、埋もれていた歴史との連続性を紐解き、さらに規制によらずに伝統的な建築様式を継承している人々の意識を明らかにして、歴史と連続した、内発的な、今後の景観創造に資する基礎的知見を得ようとする研究である。具体的には、甲府盆地の御勅使川扇状地地域に立地する31集落を対象として3,086の民家の基本形態(屋根形状と外壁素材)から基礎的な景観特徴を把握し、次に詳細調査対象として5集落、393の民家について、建築様式を特徴付ける46のカテゴリーによって、5つの基本様式と15の詳細様式を特定し、さらにこれらの様式間の関連性を示す構造を特定して、これらの様式と歴史との連続性との関係を示した。さらに、本研究では、規制が無いにもかかわらず、新築時に伝統的様式を継承している2地区に注目し、なぜ伝統的様式を継承するのか、その理由をヒアリング調査によって明らかにし、「大工選定」「行事継承」「後世への受け継ぎ」「周囲建物との関係」など6つの要因を指摘した。






 2005年度 卒業論文参考題目


◆は今年度の重点研究テーマ、●は修士論文(未定)

1.景観・空間デザイン
 ●●普通のまちの景観形成手法
 ●●歴史と連続した都市デザイン(伝統的市街地における道路・路地・建築の景観・空間設計)(市川大門など)
 ●●密集市街地における防災と景観の都市デザイン(合意形成のためのGISを用いたデータベース構築)
 ◆◆暮らし続ける農村づくりのための実践的活動の課題と手法(須玉津金集落など)
  ◆八ヶ岳山麓における田舎暮らし住宅の立地および景観の特徴と課題
  ◆ゲニウスロキの発掘(やすらぎの空間・後世に残すべき大事な場所・子どもの遊び空間・些細な資源の発見)
  ◆水辺空間(富士川流域圏における伝統的水利用の特徴)
  ◆    (河川・低湿地の開発史と水害)
  □    (都市・地方小都市・農村における水辺景観・空間の再生)
  □    (アジアの水辺空間類型化)(全国各地・タイ・ベトナム)
  □土砂災害・水害のハザードマップ公開と土地利用コントロールへの効果と課題
  ◆防犯安全のまちの課題と実現手法/集住空間構造と屋外空間・道への意識・コミュニティーの関連
  ◆郊外道路沿道景観のコントロール(アルプス通りなど)
  □自動車道路の景観設計
  □駅前広場の景観設計
  □地方都市圏の土地利用のあり方:山梨らしい住まい方(農業問題からアプローチする都市計画)
                           (食と観光からアプローチする都市計画)
                           (都市型生活と郊外型生活の魅力)
  □散歩(余暇を過ごす遊動歩行空間)空間づくり
  □伝統的集落および市街地の坂道景観の特徴(坂道景観論の構築)
  □山梨県における土木遺産の発掘
  □道路景観舗装のあり方(景観形成における土木事業の問題)
 

2.市民協働まちづくり
 ◆◆住民協働型まちづくりの推進手法
 ◆◆まちづくり初動期における身近な環境資源発掘の手法と効果
  □水辺空間再生の市民参加まちづくり
  □花づくり・ガーデニングを契機とした、まちづくりへの展開(県内各地、全国)
  □まちづくり拠点の運営実験(市川大門など)
  □中心商業地の意識改革のための手法(情報・イベント・まち歩き・視察等の実践と評価)
  □市民参加型まちづくりにおける地理情報システムの活用
 
 


2006.3.31