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[研究の内容]

地方都市圏(都市・郊外・農山村)を対象として「快適な生活環境創造のための地域計画・デザイン」に関する研究を、実践的な活動と結びつけながら行っています。

(1)「地域計画・都市農村計画」
 私たちが暮らす地域をより暮らしやすい地域にするためには、数十年先を見通して計画をつくり実行していく必要があります。計画をつくる上では様々なことを考えなければなりません。 いかにして地域を活性化させるか、持続的に生活可能な場とするか、中心市街地や農山村の衰退をどうやって食い止めるか、自然環境地域あるいは都市地域において開発と自然環境保全のバランスをどう取るか、災害に強い安全な地域をどうつくるか、 子どもが健全に育つ居住環境とは、様々な条件をどうやって統合させて1つの空間に当てはめていくか・・・・これらの様々な課題の解決方法をソフト・ハードの両面から検討しています。

(2)「景観デザイン・快適空間デザイン」
 人口減少・低成長の時代になり、私たちは経済的な豊かさだけでなく生活の質の豊かさを求めはじめています。 質の豊かさの1つに人々の生き方の現れである景観(風景)があります。美しい景観をつくるためには、地域の価値を再発見しその魅力を伸ばしていくことが大切です。 特に、近代の画一的な計画・デザインに不足してきた要素(親自然性・歴史との連続性・人間的なスケールなど)を伝統景観・空間に学びながら再評価し、 誇りを持てる本物の景観・場所を過去から未来に連続させる新しい計画・デザイン手法を検討しています。

(3)「まちづくり(市民と行政の協働型まちづくり)」
 計画(合意形成)をいかにして生み出すか(コンセプトの創造)、計画をいかにして実行・実現させるか、といった取り組みです。 特に地域の質的問題に関わる意志決定方法を検討しています。地域づくりにおいて、上位下達で進めていく時代は終わり、住民と行政が協働でおこなうまちづくりの活動が重視されてきました。 住民が行政と協働して持続的に地域の環境を良くしていく活動を「まちづくり」といいます。 まちづくりの現場に参加し、その中で求められる学術的情報を研究し提供していくことが大学の1つの役割と考え、研究しています。 さらに学生の貴重な教育・体験の場となっています。現場の問題に直面しながら勉強しています。 特に、景観&観光まちづくり、防災まちづくり、を主な対象としています。

(4)「地域資源を磨き活かす 景観+観光+防災のまちづくり」
 景観は「生き方の表れ」であり、そこに住む人々が地域の将来を考える手がかりとなり、自立的なまちづくりを促す契機となります。 観光(人々の交流)は地域資源に経済的な利益をもたらすと同時に、地域に誇りや自信を認識させてくれます。 景観まちづくりは観光まちづくりと融合します。 まちづくり活動を継続してきた地域では、美しい景観とそれを守り育ててきた人々に惹かれ観光客が訪れ、そのことが地域に誇りを与えたり、新たな地域資源の発見に繋がり、 持続性のある経済的な活性化に繋がる、という好循環の効果が現れはじめています。今、地方創生が言われていますが、その鍵は今まで価値に気づかなかった資源を発見し磨き地域持続に活かすことです。 そのために「景観まちづくり+観光まちづくり」が契機になります。「景観」はその地域の人々の暮らしの「現れ」です。 その価値をみつけ、観光に結びつけることによって、さらに景観(とそれを支える人々の心)は磨かれます。 ただし地域計画の視点から注意しなければいけないことは「短期利益を追求する観光地化は地域を壊すことがある」ことです。
 さらに、景観・観光まちづくりはいわば「日常の地域づくり」です。一方日本は世界の中で特異な災害の国です。災害に強い地域を創ることが地域づくりにとって重要な課題になりつつあります。これは、いわば「非日常の地域づくり」です。 かつては土木構造物などハードによって災害に強い地域を創ることが主流でしたが、今は防災にも「まちづくり(住民と行政が協働してソフト・ハードの両面から様々な取り組みをおこなうこと)」が重要になってきました。 なぜなら「日常のまちづくり」を頑張っている地域ほど「災害時への対応力」が大きいことが分かってきたからです。



 以上の研究テーマは互いに関連しあうもので、これらを総合して「生活の豊かさ・人間らしさ」といった質的要求に対応した具体的な計画設計技法の開発を目指しています。
長期的・持続的な視点をもち(1)、景観に注目し(2)、まちづくりの進め方で(3)、地域を磨き活かす(4)、ことが必要であり、 それは災害に強い地域にも関連します。(1)(2)(3)(4)の研究テーマは互いに関連します。
 研究態度としては、いずれの課題についても、実態をきちんと明らかにすること、実践に活かそうとする態度が大事であると考えています。


伝統空間に学ぶ



景観デザイン



まちづくり



[研究教育の特色]

研究教育方針の柱は次の2つです。
 (A)できるかぎり「現場(地域)と密着すること」。
 (B)「研究目的を自ら発見し絞り込む過程を大事すること」。
 まず、主体的に研究に取り組む意識を醸成することが大事だと考えています。さらに、論理展開を学ぶこと、既存手法を理解しさらに自ら工夫すること、研究の位置づけを理解しレベルを上げること、地域から学びその中から原理を導き出すこと、を学んでほしいと考えています。
 上記(A)(B)を柱とする理由は計画分野の特徴によるものでもあります。研究という立場からは普遍性を求める努力が常に大切ですが、 この分野では、地域固有の問題を対象とせざるを得ず、場合によっては固有解こそ重要という特徴があります。 したがって(A)のように地域に密着し、地域に学ぶ(課題も答えも地域の中に隠れている)という姿勢が、将来、地域づくりの分野に携わる専門家にとって大切だと考えるからです。 また、現場の要請は、例えば「住民の幸せを支える地域の姿はどうあるべきか」といった抽象的な課題を突きつけられることが多く、 そのような茫漠とした課題に対して「何を目標にしたらよいのか」「どのような方法でその答えを出すか」を地域の実情に照らしながら的確に編み出す能力が求められます。 そのため(B)が大切になります。


昼は調査



夜は机に向かって・・(勉強してます)