NHK長野放送局 「知るしん」 「大地震から命を守るために 〜長野県北部地震から3年〜」
2014年3月14日20時〜20時30分

山梨大学の秦です。

3月14日にNHK長野放送局の「知るしん」に出演する機会がございました。
番組では、栄村の震災当時の証言集と東京都杉並区の小学校の取り組みについてVTRが紹介がなされましたが、当方の拙いコメントのために、それぞれの取り組みの素晴らしさと、そこから何を学ぶかについて、視聴者にお伝えできなかったと反省しています。

ついては、テレビでは十分にお伝えできなかった点を、ここで補足させていただきます。

1.栄村の震災当時の証言集
「栄村の事実どうみる?」
・地震発生は早朝3:59で、周囲は薄暗かった。その中で、自分の身の安全を確認すると、隣近所の人に声がけ、助け合いを皆が行い、わずか1時間で全員の安否の確認を行うことができたのは、地域のつながりが強かったから。
・防災の基本である自助、共助が徹底されている。
・栄村は各地区の消防団の分団が中心となり、地震から1時間30分後の5:30には全村民の安否確認が終了している。停電せず携帯が使えたことを割り引いても凄い事だ。

「栄村の教訓をどう活かす?」
・長野県では震災の前、平成18年から「地域防災力アップ」出前講座、平成19年から自主防災活動支援事業がそれぞれ実施されている。出前講座の参加者は延べ27000人に達し、支援事業では消防団OBなどが自主防災活動の立ち上げ支援を行っている。
・栄村の教訓は、地域防災におけるコミュニティの大切さを改めて示した。自主防災活動の支援の取り組みは、より充実させる必要がある。
・地域の中で防災活動をはじめたいが何から手を付けて良いかわからないという地域があれば、是非こうした仕組みを利用してもらいたい。

「ご近所さんが重要という話しは、阪神・淡路大震災の時でも随分いわれたが」
・地域コミュニティの活性化は、言うは易く行うは難し。
・長野県内の自主防災組織の人口カバー率は91%と全国的にも非常に高いが、実態は形骸化しているところが少なくない。
・県内でも地域毎の温度差があり、どうやってコミュニティを活性化させるかは大きな課題だ。


2.東京都杉並区の小学校の防災教育の取り組み
「学校、子どもを軸に地域をつなげていく取り組み、どうみる?」
・大変素晴らしい。子ども達の主体性、子どもを介した保護者の意識改革と具体的な活動への展開など、他の地域でも非常に参考になる取り組み。
・保護者の方がおっしゃっていた、「自分の身を守る」ことが一番大切なこと。

「地域コミュニティにどうやって広げていく?」
・子どもを守るということに反対する大人はいない。
・地域に広げる際には、地域の既存の組織と連携することが重要。
・そのときに、防災のためだけだと長続きしない。地域が抱える課題を一緒に考えるという視点が大切。
・地域の課題としては防災の他に、防犯もある。

「一方でお年寄りはどうか?」
・東日本大震災で多くの高齢者や障害者が犠牲になったことを受けて、災害対策基本法が改正され、努力義務だった要援護者名簿の作成が義務化された。
・地域の要援護者対策もこれを契機に加速することを期待したい。
・山梨県南アルプス市のある自主防災組織では、地域住民の名簿を作成して、住民同士で共有しているほか、要援護者の情報を地図に落とし込んだ防災マップを作成し、災害時の安否を誰が担当するのか事前に取り決めを行っている。


「大震災から命を守るために」
・防災の基本である、自助・共助を徹底することがもっとも大事。自分の身は自分で守る。自分が大丈夫だったら周囲の人を助ける。
・高齢者の方の中には、災害で死んでも構わないとおっしゃる方も少なくない。しかし、お子さんやお孫さんは必ず悲しむ。また、ケガをしたり、生き埋めになってしまっては、救助や救出の手が必要になり、地域の防災力を落とすことなる。
・自分の身を守ることは、周りの人を助けることにつながる。