県内唯一の教育学部・教職大学院としての矜持

徽典会会長 (教育学部長・大学院教育学研究科長)

   服  部  一  秀 

 令和5年度より、教育学部長・大学院教育学研究科長の拝命にともない、徽典会会長を仰せつかりました。古家貴雄先生の後任となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 徽典会会員の皆様には益々ご健勝にてご活躍のことと存じます。日頃より山梨大学教育学部・教職大学院の教育活動に格別のご厚情ご支援を賜り、まことにありがとうございます。心より感謝申し上げます。

 新型コロナウィルス感染症の5類感染症移行にともない、本学では感染リスクの軽減に努めつつ、対面形式を中心に教育活動をすすめています。教育実習も、注意を払いつつ、通常のかたちで実施しています。そのなかで教育実習録を電子化する試みもはじめました。コロナ禍に翻弄されながらも培った新しい教育の可能性を十分に生かして、山梨大学教育学部・教職大学院の使命にこたえていきたいと考えています。

 山梨大学教育学部・教職大学院の使命とは、優れた教員の育成です。何のために、何を、どう教えるか、それはなぜか、教員になってからも問い直し、「よりよい教育」を探求しつづけられるよう、学生諸君を育みたいと考えています。それこそが山梨や日本の学校教育をよりよくするために我々が為すべきであり、我々だからこそ為しうることであると考え、この使命の実現に努めています。教員の育成を大学で行うことの意味、他の学部・大学院ではなく教育学部・教職大学院で行うことの意味、そして、山梨大学教育学部・教職大学院だからこそできる教員育成のあり方を我々は大事にしていきたいと考えています。

 その大きな支えとなっているのが、教育委員会との連携協力関係です。山梨県教育委員会との関係は2017年3月締結の「連携協力に関する覚書」により一層強固なものとなり、さまざまな面において多大なご支援をいただいています。「山梨県教育委員会と山梨大学教育学部との連携協議会」(年四回開催)は、教員養成と現職教員研修の充実に向け、諸課題に共に取り組んでいくための重要な協議の機会となっています。また、多くの学生諸君が取り組んでいる教育ボランティア活動、その発展形として成果をあげている地域学習アシスト事業、さらには「子どもと教師の成長を結ぶ教育評価研修会」や「初任者研修等における山梨大学教育学部教員の派遣」といった教員育成推進事業なども、山梨県教育委員会や各市町村教育委員会との連携協力関係があればこその取組です。

 教育学部附属学校園や教職大学院連携協力校との連携協力関係も、我々にとって大変重要なものです。附属学校園の先生方と共に「山梨大学教員養成・教育実践研究協議会」を組織し、研究開発領域、実習・養成・育成研修領域、地域支援連携領域という三つの領域を設けて諸課題に取り組んでいます。たとえば、4つの附属学校園が「非認知能力」の育成という共通の研究テーマを掲げ、大学教員も参画して研究を進めていく共同研究体制をスタートさせました。その成果が附属学校園の教育は勿論のこと、教育実習をはじめとする教育学部・教職大学院の教育にも生かされていくことと期待しています。また、教職大学院における年間200時間に及ぶ実習は、県内の80校をこえる連携協力校のご協力によって可能となっています。理論と実践の往還による大学院生の学修と成長にとって、連携協力校での実習はとても大きな意味をもっています。

 山梨大学教育学部・教職大学院はこれからも、山梨県内唯一の教育学部・教職大学院としての矜持をもち、教育委員会や附属学校園・連携協力校などとの連携協力のもと、優れた教員の育成を推進してまいります。皆様のさらなるご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 末筆ながら、徽典会会員の皆様の益々のご健勝とご発展を心よりお祈りいたします。

 (『徽典会』60、2023年度、「巻頭言」より)