トウモロコシグルタミン合成酵素の構造生物学

 

   アンモニア+グルタミン酸+ATP → グルタミン+ADP+Pi


 植物のグルタミン合成酵素はホモ10量体で、2006年に我々は、真核生物のグルタミン合成酵素として世界で初めてGS1a の結晶解析に成功した(J. Biol. Chem. 281, 19287-29296 (2006)) 。微生物などの原核生物のグルタミン合成酵素は12量体で、構造が似ているが違っているところも多い。


 

トウモロコシグルタミン合成酵素

(GS + ADP + MetSox-P + Mn)

PDB ID : 2D3A

Atomic structure of plant glutamine synthetase: a key enzyme for plant productivity


Unno, H., Uchida, T., Sugawara, H., Kurisu, G., Sugiyama, T., Yamaya, T., Sakakibara, H., Hase, T. and Kusunoki, M.

J.  Biol.Chem., 281, 19287-29296 (2006)


関連構造

PDB ID : 2D3B, 2D3C


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植物は独立栄養を営んでおり、土壌や大気から獲得した無機態(無機物質)の栄養を有機化合物にしている

。植物の三大栄養素は、窒素、カリウム、リンであり、窒素源は植物の成長を制限する重要な栄養素で、学術的にも農業生産にとっても大きな関心がある。高等植物では、窒素は硝酸イオンとアンモニアの形で根から吸収される。硝酸イオンは根や葉においてアンモニアに還元される。引き続くアンモニア同化反応において、アンモニアはグルタミン酸と反応しグルタミン酸側鎖のカルボキシル基のアミド化に使われ、グルタミンとして炭素骨格に組み入れられる。この反応はグルタミン合成酵素により触媒され、ATPがADPに加水分解されるエネルギーを利用する。グルタミンは植物体の組織に移動し、窒素源として各種アミノ酸、核酸塩基などの窒素供給源となる。グルタミン合成酵素は次の反応を触媒し、窒素原子が有機化合物の炭素骨格に組み込まれる最初の反応であり、窒素同化のキー酵素とよばれている。

垂直軸の周りに90°回転

グルタミン合成酵素の阻害剤へのリン酸基転移反応