1. フーリエ変換とDTFTの式を身に染みつけさせること(逆変換の式は「二の次」としましょう.まず,順変換の式を身に染みつけさせてください.).
2. 配布プリントに描いておいた時間波形とスペクトルの図が,教科書 p.124 図7.1にも掲載されている.その図における@〜Bまでを(表7.1における@〜Bの互いの関係を意識しつつ)自分の言葉で説明できるようにすること.(Cは来週の講義で取り上げます.)
3. 教科書p.82「(2)離散時間パルス信号」について,演習問題と考え自分でDTFTを実行してみること.
1. DTFT,DFT (FFT) が対象とする信号は,どのようなものか整理すること.また,これらの時間波形・変換の結果は,それぞれどのようなものであるか整理すること.(教科書 p.124 図7.1,表7.1 を自分の言葉で説明できるようにすること.ただし,講義中にも述べたように DFT は N点の離散時系列から N点の離散スペクトルを求める操作であることに注意すること.図7.1 の一番下のパネルは,DFTの過程を説明するものに過ぎない.)
2. DFTの式を身に染み付けさせること(逆DFTは結構です).また,回転子とは何かを整理し,回転子を用いてDFTの式を表現できるようにしておくこと.
3. 講義中に式(5.42)のf(n)=δ(n)を取り上げた.演習問題として,式(5.43)の f(n) = 1 の DFT を自分で導出してみること.(ヒント:回転子の図面を思い浮かべれば,キャンセルされるものが見つかるので簡単)
導出が終わったら,以下のことを理解すること.
δ(n)は,単位パルスと呼ばれ,連続時間信号におけるインパルスに相当する.スペクトルは,N点の周波数においてすべて等しい振幅 1 をとる.DFTを計算する過程では,N点ごとに1が立つパルス列と仮定される(図5.7(a)).偶関数ゆえ,位相スペクトル(虚数成分)= 0.これは,ちょうどインパルスがあらゆる周波数で等振幅の cos 波の重ねあわせと考えられたのに対応している.
f(n) = 1 は,直流(例えば,電池の電圧波形)をサンプルしたものである.N点の離散スペクトルとしては k=0 (繰り返し周期=∞の成分)以外では 0 であることが理解できるはずである.
4. 教科書p.90 例題1を練習問題のつもりで取り組むこと.
1. (来週の「信号処理演習」のレポート課題になりますが,演習を履修していない方のために・・・)
信号処理テキスト p.124, 図7.1 を他者に説明するつもりで解説せよ(A4,1枚にまとめる.DFTとDFSを区別すること.表7.1に示されている「相互の関係」も意識すること).
・ 時間波形の特徴
・ 変換名,変換式
・ スペクトルの特徴
2. 直線畳み込み(式(6.1))の導出過程を,プリントを再読し確認すること.また,式(6.1)を実際に計算できるようにすること.そのために,教科書p.108, 例題1において「巡回」という2文字を無視して,たたみ込み演算を行ってみること(答は図6.5に示されている).(「巡回たたみ込み」は来週,勉強します.)
3. システムのインパルス応答をh(n), 入力をx(n),出力をy(n)とし,それぞれのDTFTをH(Ω), X(Ω), Y(Ω)とする.y(n)=h(n) * x(n)を出発点としてY(Ω)=H(Ω) X(Ω) を導きなさい.(プリントp.4の末尾(式(6.11)の導出)の復習です.)
1. 直線畳み込み(DTFT Y(Ω)=H(Ω) X(Ω)に相当)と巡回畳み込み(DFT Y(k)=H(k) X(k)に相当)の違いを確認すること.教科書p.108, 例題1を演習問題と考え,巡回たたみ込み演算を行ってみること→終わったら末尾の課題(1)に進む.
2. 我々が実際に行いたいのは,畳み込み演算ではなく,式(6.17)を利用したDFTのかけ算による高速な信号処理である.そのためには,なぜ 0 を十分な長さ付加すれば,直線畳み込みを巡回畳み込みで実現できるのか理解しておくことは必須である.くどいようだが,以下の考えを整理すること.→終わったら課題(2)に進む
(1) 正しい演算は直線畳み込みである.しかし,これは計算量が大きく厄介であり,DFT (FFT) の乗算で求められば都合がよい.
(2) DFT (FFT) の乗算で得られるのは,巡回畳み込みの結果である.これは,直線畳み込みとは異なるものである.
(3) 巡回畳み込みを,十分な0を付加してから行えば,その結果は直線畳み込みと等しくなる.
(4) ならば,十分な0を付加した信号を用意すれば,DFT (FFT) の乗算を行い逆FFTすることで,直線畳み込みと等価な結果が得られる.これは,たいへんGoodである.
3. FIRフィルタ・IIRフィルタについて,「式」と「ブロック図」の対応関係を確認すること.
===本日の課題(レポートではありません.しかし,期末テストに向けて自分の理解を深めるために挑戦することをオススメします.)===
課題(1):教科書 p.120 演習問題[2]に挑戦すること.
課題(2):課題(1)と同じ問題について,巡回畳み込みが直線畳み込みと等しい結果を与えるように工夫し,実行すること.
1. (信号処理演習のレポート課題にもしてありますが)教科書の図7.1および表7.1を(他人に説明ができるようになるまで)整理しておくこと.このとき図7.1は「DFT」に誤解を与えるものであるから,十分に注意すること.
2. 式(7.4)の意味を(教科書の図7.2と図7.3,および配布プリントの図を参照しながら)確認すること.それを通じて,スペクトルに折り返し歪が生じないサンプリング周波数の条件(サンプリング定理)を改めて確認すること.
3. 信号を単純に切り出す(方形波窓をかける)ことにより生じるデメリットを述べること.また,そのデメリットを解消するために,窓関数としてはどのような特徴をもったものを用いるべきか述べること.
参考1:正弦波を切り出した信号のスペクトルが広がるのは,DFTにおける「波形が繰り返す」という仮定による.
参考2:時間領域で窓関数をかけることは,周波数領域ではスペクトルのたたみ込みに相当する.方形波窓は時間波形として角があるので,スペクトルは広い(高い周波数成分を含んでいる).一方,例えばハニング窓は滑らかな時間波形であるため,スペクトルが狭い.
(本日の講義の内容は試験の範囲外としますが)ラプラス変換・z変換は,工学屋さんにとって極めて大切なツールです.ぜひ,以下の点は知っておいてください.
ラプラス変換には,以下のメリットがありました.
z変換は,「ラプラス変換のディジタル版」です.微分方程式で記述されるシステムを差分方程式で近似し,その式からIIRフィルタを構成できることまで話しました.また,実際に「正弦波を発生するIIRフィルタ」のプログラムを作ることができることまで話しました.(きっと,皆さんも,そのプログラムを「美しい」と感じてくれるものと期待します.なお,詳細な説明はプリントに書名を示した書籍(図書館に蔵書あり)の p.149に書かれていますので,プログラムの美しさを探求したい人はご参照ください.)
○ いわゆる「メディア工学」の分野の人間として,画像・音の信号処理がマスターできていないのは悲しいことです.フーリエ変換・畳み込みは,信号処理の基本です.
それでは,期末テストに向けてよろしく勉学に励んでください.期末テストの範囲は,「中間試験の後の部分」ですが,教科書 p.124 図7.1・表7.1が含まれますので,フーリエ級数展開・フーリエ変換を忘れることはできないはずですね.