物理的打撃によるインパルス応答の測定である「打診」は,古くから体内の状態を知る有効手段として使われてきました。本研究では,「音楽(メロディ)が聞こえる試験信号(5秒程度)」を体表面から振動子により与え,インパルス応答を算出することを電子打診と称しています。
まず,健常者を対象とした臓器位置の推定という課題を通じて,電子打診システムを構築します。続いて,妊婦を対象にして,電子打診による胎位の推定を行う予定です。また,SN比の高い体表位置を特定し,胎児心拍数の計測を目指します。さらに,肺炎治療中患者を対象として電子打診を行い,胸水の溜まり具合の推定に挑みたいと考えています。これらを通じて,電子打診による体調管理支援の可能性の探究に取り組みます。
下図は,音楽信号による打診波形(赤実線)と,打撃を時間軸上で伸張した波形(スイープ音)による打診波形(青点線)を比較したもので,完全に一致していることが分かります。それゆえ,音楽信号によって打診を行うことが可能であることが示されます(2025年3月
情報処理全国大会で発表済み)。
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