研究プロジェクトの紹介 (過去のプロジェクトはこちら)

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時空間音圧分布画像を用いたマイクロホンアレイ信号処理
(科研費プロジェクト)
 マイクロホンアレイとは「複数のマイクロホンを並べたもの」です。マイクロホンに到来する音が微妙に異なることを利用して,狙った音のみを収録することができます。 
 当プロジェクトでは,マイクロホンからの出力である瞬時音圧の高低 → 輝度の高低と変換することで画像を生成し,それを全てのマイクロホンに並べることで「
時空間音圧分布画像」を構成します。その画像の2次元スペクトルにおいて,「空間周波数成分が局在する特徴」を用いることで高精度な音源分離などを行います。これをスマートフォンに搭載できるサイズのアレイで実現したいと考えています。
・詳細はこちらのページをご参照ください。
高校生向けのビデオもご覧ください。


音楽信号を用いた電子打診による体調管理の支援可能性の探求
(帝京大学医学部産婦人科との共同研究,科研費プロジェクト
 物理的打撃によるインパルス応答の測定である「打診」は,古くから体内の状態を知る有効手段として使われてきました。本研究では,「音楽(メロディ)が聞こえる試験信号(5秒程度)」を体表面から振動子により与え,インパルス応答を算出することを電子打診と称しています。
 まず,健常者を対象とした臓器位置の推定という課題を通じて,電子打診システムを構築します。続いて,妊婦を対象にして,電子打診による胎位の推定を行う予定です。また,SN比の高い体表位置を特定し,胎児心拍数の計測を目指します。さらに,肺炎治療中患者を対象として電子打診を行い,胸水の溜まり具合の推定に挑みたいと考えています。これらを通じて,電子打診による体調管理支援の可能性の探究に取り組みます。
 下図は,音楽信号による打診波形(赤実線)と,打撃を時間軸上で伸張した波形(スイープ音)による打診波形(青点線)を比較したもので,完全に一致していることが分かります。それゆえ,音楽信号によって打診を行うことが可能であることが示されます(2025年3月 情報処理全国大会で発表済み)。



伝音難聴の非侵襲診断に関する研究開発
(金沢大学 生体機械工学研究室(代表:村越道生 准教授)との共同研究,AMEDプロジェクト
 耳の中の中耳は,外界から入った音を(音の受容機能をもつ)内耳に伝達するという重要な役割をもっています.中耳を構成する骨(耳小骨)が病気や外傷などの理由で固着したり離断したりすると,伝音難聴になります.耳小骨の状態を簡易・非侵襲的に推定し,医師による伝音難聴の診断に役立てるための技術を開発すべく,金沢大・生体機械工学研究室(代表:村越道生 准教授)との共同研究に取り組んでいます.
 当研究室では,耳の中で計測された音響的な「インパルス応答」を手掛かりにして中耳の正常・固着・離断を判別するために,@ インパルス応答から如何にして特徴量を抽出するか? A 中耳状態を判別するための分類器をどのように構築するか? B 構築した分類器により,既存の医療機器に比べどの程度高い疾患判別が可能か? について研究を進めています.
 

骨導デバイスを用いた耳開放型騒音抑圧法の確立
科研費プロジェクト
 本プロジェクトでは,骨伝導(骨導)受聴デバイスを使って「耳を塞がない耳栓」を実現するための研究を進めています.通常のノイズキャンセリング技術では,消したい音に対して受聴点で等振幅・逆位相となるような二次音を生成することができます.一方,骨導ヘッドホンを通して聞く音(骨導音)は,途中で頭蓋骨や皮膚等の組織のさまざまな経路を通じて耳に到来するため,「等振幅・逆位相となるような二次音」を骨導音として実現するためには骨導経路の振幅・位相に関する周波数特性が既知である必要があります.
 本研究では,音の大きさに関する種々の主観評価実験を通して,各個人に対する骨導経路の振幅・位相特性を明らかにします.その特性を考慮して二次音をコントロールすることで,耳に到来する騒音を耳の中で抑圧するシステムを構築します.
 
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