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技術・機器紹介

技術紹介

① 卵子核の除去
クローン動物を作るためには、最初に卵子の核を除去しなければならない。しかし直径80μmのマウスの卵子から透明な核を見つけ出し、直径10μmのガラス管に吸い込んで取り除く作業は非常に難しい。
② 体細胞核の摘出
マウスの体細胞を直径5μmのガラス管で壊し、中から核を取り出す。細胞膜を壊すときに核まで壊してしまったら、もうクローンを作ることは出来ない。
③ 体細胞核を卵子へ注入
取り出した体細胞の核を、核のないマウスの卵子の中へ注入する。卵子を壊さないで核を注入する技術は職人芸と言われるほど難しい。
 ④ 顕微授精
精子を卵子内へ直接注入して受精させる技術。顕微鏡下で受精させるため顕微授精と呼ばれている。この技術を使えば死んだ精子からでも仔マウスを作り出せる。
 ⑤ 注入キメラ
ES細胞を胚盤胞と呼ばれるマウスの受精卵へ注入している様子。この受精卵から生まれてくるマウスはES細胞と受精卵の細胞が混ざったキメラマウスとなる。
 ⑥ 胚盤胞の切断
マウスの胚盤胞をマイクロマニピュレーターに取り付けたマイクロブレードでカットしている様子。赤ちゃんになる部分と胎盤になる部分を分けることが出来る。
 ⑦ 卵子の融合
2つのマウスの卵子を直線に並べ、ガラス管で串刺しにする。すると融合して1つの大きなジャイアント卵子になる。
 ⑧ FRAP
マウスの受精卵の核にレーザー照射(赤い枠の中)すると緑の蛍光が退色して暗くなる。若い胚や健康な胚ほど早く蛍光が回復するため、DNA検査を生きたまま行うことが出来る。
 ⑨ 胚発生の様子
マウスの受精卵が細胞分裂を繰り返して発生が進行していく様子。赤く光っているのは染色体で、細胞分裂後にそれぞれの細胞に均等に分配される様子がわかる。
 ⑩ キメラ胚の作製
2つのマウスの受精卵を合体させることでキメラ胚を作ることができる。動画ではわかりやすいように2つの胚を赤と緑にそれぞれ色付けしてある。生まれてくるマウスは赤と緑の細胞がごちゃ混ぜになった1匹のキメラマウスとなる。

 

   

主な実験機器の紹介

マイクロマニピュレーター システム

マイクロマニピュレーターセット 手の動きを顕微鏡のミクロの世界に変換できる。通称"マニピ" マニピを使えば卵子への精子の注入や体細胞核の移植が可能になる。 ただし、習熟にはそれ相応の努力と根性と覚悟が必要。
 セルソーター(FACS AriaⅡ)

体を構成する細胞の種類は200種類とも言われている。 実験に使いたい種類の細胞だけを人間の手で選んでくることは到底不可能。 そんな時に活躍するのがFACS。狙った細胞だけを生きたまま選びとることが可能。
蛍光顕微鏡

共焦点顕微鏡には及ばないが、無色な卵、胚および細胞の様子と染色された 蛍光画像を撮影することができる。手軽に使え、胚の発生の様子を記録するために 用いられるなど当センターで最も頻繁に使われている機器の一つ。
 共焦点顕微鏡(CellVoyager CV1000)

共焦点レーザー顕微鏡とインキュベーターの一体型実験機器。 胚や細胞を培養したまま観察することができる。 胚の場合観察した後に母体に移植すると子供を産ませることもできる。 生まれてきた子供の受精卵時代の姿を残すことができる。
 共焦点顕微鏡(FV1200)

通常、細胞は基本的には無色だ。 共焦点レーザー顕微鏡を使えば、普通の顕微鏡よりも鮮明に カラフルに可視化された卵子や胚の内部の観察が可能になる。
   凍結乾燥機

インスタント食品を作るのにも利用されるフリーズドライ技術。 この機械があれば、インスタント精子が作れる。 水を加えるだけで顕微授精ができる精子が作れるだけでなく、 室温で年単位の保存も可能になる。
  凍結切片作成装置      
生体内から採取した組織を-20℃で凍らせたまま、一定の薄さでスライスすることが出来る。これによって作成した組織標本を観察することで、どのような変化が起きているか観察することができる。