山梨大学大学院 総合研究部 工学学域電気電子情報工学系
關谷・作間研究室
Sekiya/Sakuma Laboratory
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超伝導体の高周波,マイクロ波応用

超伝導体は直流では電気抵抗が0となり,数kHz~数10 GHzにおいては銅などの金属と比較して抵抗が2桁~3桁ほど小さくなります. その特徴を活かして,下図に示すように,超伝導体は直流では超伝導線材としてリニアモーターカーなどに用いられる強力な電磁石として実用化され, マイクロ波帯では,超伝導薄膜基板として様々なデバイス(フィルタ,アンテナ)に利用され,一部実用化されています.



關谷研究室の研究内容

【マイクロ波帯の応用】超伝導体を平面フィルタに用いると従来技術では両立できなかった低損失と急峻な遮断特性を同時に実現することができます. この特徴をいかして宇宙からの微弱な電波を受信し宇宙の謎を解明する電波天文分野に必要な高感度受信機に使われる超伝導フィルタの開発を行っています.
また,量子コンピュータは数GHzの周波数を使って量子ビットを制御しており,その読み出しに使われる帯域通過フィルタの研究も進めています.
さらに,NMR装置に使われる超伝導プローブの開発なども行っています.

【高周波用超伝導線材の開発とワイヤレス電力伝送への応用】直流とマイクロ波帯の間の高周波帯(数KHz~数10MHz)では超伝導体を使った実用化例はなく,未開拓です(上図). この原因は高周波帯で低損失を実現できる超伝導線材がなかったためです.關谷研究室では世界で初めて高周波で低損失を実現できる高周波用超伝導線材を開発しました. この線材をワイヤレス電力伝送の送受電コイルに応用することで,飛躍的な伝送効率の向上を実現しました. この技術を使って体内医療器(カプセル内視鏡)への非接触給電技術や電気自動車への非接触給電技術の研究を進めています.


JAXA深宇宙探査用新アンテナのための超伝導帯域通過フィルタの開発 spotlight

JAXA(宇宙航空研究開発機構)では深宇宙探査機との通信設備である臼田64m口径パラボナアンテナの老朽化に伴い, 口径54mの新型アンテナの開発を行っています.新型アンテナの受信機には周囲からの外来波除去のため,小型かつ低損失で 急峻な遮断特性をもつフィルタが要求されています.

そこで,關谷研究室と企業との共同研究によってこれら要求を満たす超伝導帯域通過フィルタの開発を行い,JAXA深宇宙探査用地上局に採用されることになりました.

2019年12月には「はやぶさ2」との交信に成功し,本格運用が開始され,今も順調に稼働しています..

この成果は国内大学で初めての超伝導フィルタの実用化になります.


関連HP:
JAXA深宇宙探査地上局プロジェクト

関連表彰:
International Symposium on Superconductivity (ISS2019) Poster Presentation Award
超伝導エレクトロニクス研究会学生優秀発表賞2020
2020年度電子情報通信学会学術奨励賞


多輝線同時観測分光観測装置のための超伝導デュアルバンド帯域通過フィルタの開発 spotlight

異なる周波数の複数の分子スペクトルを同時に観測することは,分子ガス(分子雲)の化学反応や物理状態を調べるために非常に重要です. そのため,名古屋大学では一度に広帯域にわたり分子の周波数スペクトルを観測できる受信機を開発していましたが,非常に複雑になる問題がありました.

そこで,關谷研究室,名古屋大学(水野研究室),企業との共同研究によって超伝導デュアルバンド帯域通過フィルタ(DBPF)の開発を行い,受信器の簡素化に成功しました.

開発した超伝導DBPFは2022年度から南極昭和基地に設置した観測装置内に利用されています.



関連表彰:
2020年度電子情報通信学会学術奨励賞

関連記事:
水野研究室(名古屋大学)のホームページ


超伝導フィルタの研究成果((公財)JKA補助事業)

2020年度(公財)JKAの補助事業(「電波天文のための広帯域超伝導フィルタの開発」)で行った内容を以下にまとめました。

・2020年度(公財)JKA補助事業: 成果の詳細はこちらのPDFファイル

2021年度(公財)JKAの補助事業(「電波天文のためのクワッドバンド帯域通過フィルタの開発」)で行った内容を以下にまとめました。

・2021年度(公財)JKA補助事業: 成果の詳細はこちらのPDFファイル

・関連表彰: 電子情報通信学会エレクトロニクスソサエティ学生奨励賞2022

2022年度(公財)JKAの補助事業(「電波天文用広帯域超伝導マルチバンドフィルタの開発」)で行った内容を以下にまとめました。

・2022年度(公財)JKA補助事業: 成果の詳細はこちらのPDFファイル

・関連表彰: 2022年度電子情報通信学会マイクロ波研究会学生研究優秀発表賞

2023年度(公財)JKAの補助事業(「電波天文用広帯域超伝導スーパーマルチバンドフィルタの開発」)で行った内容を以下にまとめました。

・2023年度(公財)JKA補助事業: 成果の詳細はこちらのPDFファイル

2024年度(公財)JKAの補助事業(「量子コンピュータ用小型高性能超伝導フィルタの開発」)で行った内容を以下にまとめました。

・2024年度(公財)JKA補助事業: 成果の詳細はこちらのPDFファイル


核磁気共鳴(NMR)装置用超伝導プローブの開発

NMR装置は化学薬品(薬品,農薬),高分子材料(ビニール,ポリエチレン),生体物質(タンパク質,核酸)など,炭素,酸素,水素,窒素,リン といった有機化合物の分析に必要不可欠な装置です.しかしながら,感度が非常に低いという問題があり,分析に数日かかる場合もあります.

そこで,従来のプローブ(RFコイル)に使われている銅(常伝導体)と比較して2桁~3桁程度表面抵抗が小さい超伝導体をRFコイルに使うことで,検出感度の改善を図っています.

これまでに關谷・作間研究室では超伝導RFコイルの開発にあたってコイル構造と超伝導材料の課題の改善を図ってきました. 今後は構造面と材料面の課題に対してさらに改良を加えて,実用化を目指していきます.



関連表彰:
2021年度低温工学・超電導学会優良発表賞(2021年5月)
2024年電子情報通信学会超伝導エレクトロニクス研究会学生優秀発表賞(2024年8月)


高周波用超伝導線材を使ったワイヤレス電力伝送の研究
これまで高周波帯で低損失を実現できる超伝導線材はありませんでした.これに対して關谷研究室では世界で初めて高周波で低損失を実現できる高周波用超伝導線材を開発しました. この線材をワイヤレス電力伝送の送受電コイルに応用することで,従来技術では実現できない飛躍的に高いQ値(損失が小さい)を実証しました. 開発した超伝導コイルをワイヤレス電力伝送の送受電コイルに用いることで,従来技術では実現できない飛躍的に高い伝送効率を実証しました. この技術を使って体内医療器(カプセル内視鏡)への非接触充電技術や電気自動車への非接触充電技術の研究を進めています.



関連記事:
パワーアカデミー萌芽研究採択者インタビュー
EE Times Japan掲載記事

関連表彰:
パワーアカデミー萌芽研究優秀賞(2018年3月)
CST YEP AWARD 2017
2021年度低温工学・超電導学会優良発表賞
2022年度超伝導エレクトロニクス研究会学生優秀発表賞
2023年度低温工学・超電導学会優良発表賞
2023年電子情報通信学会エレクトロニクスソサエティ学生奨励表賞
2024年度低温工学・超電導学会優良発表賞
第56回(2024年春季)応用物理学会講演奨励賞
2025年度低温工学・超電導学会優良発表賞


その他(理科教室)

關谷研究室では小,中学生の理科離れの改善と超伝導の普及を目指して理科教室を開催しています.主に液体窒素を使った実験学習を行っています.
下図は超伝導体の磁気浮上を利用した超伝導ジェットコースターです.超伝導体は磁石のレールから外れることなく2回宙返りや筒の側面を走行します.

超伝導ジェットコースターの詳細は以下の関連記事をご覧ください.

これまでの実績

・山梨県生涯学習推進センター・現代的課題講座 「山梨県の超伝導最新技術」講師 (2019年)

・山梨県生涯学習推進センター・生涯楽習講座 親子で学ぶサイエンス講座「液体窒素を使った極低温世界の実験」講師(2019年)

・山梨県高等学校教育研究会理科部会,山梨県科学アカデミー平成30年度理科教員ステップアップ研修会 講師(2018年)

・山梨県企業局発電制御所主催クリーンエネルギー学習講座 小学生理科教室「極低温世界の実験学習」講師(2009年~2016年)

その他,小学校,高校への出前講義,高大連携講座など多数

関連記事:
おもしろ科学実験室