現在の研究テーマ

Bukatsu(部活動)の文化心理学

 とうとう教員養成系の教員らしい研究テーマで研究しています。アメリカ滞在経験がおおきなきっかけ。アメリカで衝撃を受け,日本に帰ってきて衝撃を受け,結果として日本の学校とか子育てのようなことに関心を持つようになりました。とくに部活動はそれが世界的に極めて独特なシステムであるというだけでなく,教育上,そしてスポーツ活動としても大きな問題をはらんでいると言わざるを得ません。たまたま2014年度から中学生のスポーツ活動で科研費をいただいたので,今はbukatsu研究の心理学者ということで活動中です。

 
環境教育とエコツーリズム

 グリフィス大学での在外研究のテーマが「環境教育とエコツーリズムに関する社会心理学的研究」というものです。そもそも,環境教育とかエコツーリズムに興味を持ったのは,東京都の離島である「小笠原」を訪ねるようになってから。都立大の助手のときに,今は亡き指導教官に連れられて調査をしたのが最初です。それ以来,毎年のように小笠原に通っています。在外研究のチャンスに,思い切って心理学以外のところを選んだのは,小笠原での環境教育のプロジェクトを本格始動したいと考えたというのが大きな理由です。

心理学論

 立命館大学文学部のサトウタツヤ助教授と,帯広畜産大学畜産学部の渡邊芳之助教授とともに,心理学のあり方ありようについてあれこれ論じています(本も出しました:下記)。私は主に心理学の研究法についてあれこれ言ってきました。大学院のときに現在国立精神・神経センター精神保健研究所の川野健治室長とともに,ほんのはずみで論文を書いたのがきっかけです。原稿の依頼はこの手のものがほとんどです。
 「統計,とりわけ検定をしなければ心理学ではない,科学ではない」という言説がまかり通らないようにするのがとりあえずの目標でした。というか,自分が修論でしたこと(ソーシャルサポートに関するインタビューデータを使って分析。双対尺度法という多変量解析は使ったが検定はせず)を正当化するために,いろいろほざいてきたといっていいでしょう。キーワードは「フィールド」(本も出しました:下記)。サトウタツヤさんが中心になってやっているさまざまな活動のお手伝いもしています。

<参考文献>
1 サトウタツヤ・渡邊芳之・尾見康博 2000.6. 心理学論の誕生−「心理学」のフィールドワーク− 北大路書房(京都)
2 尾見康博・伊藤哲司(編) 2001.10. 心理学におけるフィールド研究の現場 北大路書房(京都)
3 尾見康博・川野健治 1996.3. 納得の基準−心理学者がしていること− 人文学報(東京都立大学),269,31-45.
 (これは,1に収録されている論文ですが,私が自分の書いたものの中で一番気に入っているものなのであえて掲載します)


ソーシャルサポート,対人ネットワーク

 修論のとき以来,細々とやっています。この手のネタで原稿を頼まれることはほとんどありませんが,大学院時に取ったデータをいくつか論文にまとめています。不良債権の処理のようなものですが。それなりにこだわりがあって捨て切れませんが,なかなかソーシャルサポートについて考えたり調べたりする時間が取れないのが現実です。いつか,愛他性とか援助とかそういったものをひっくるめて,理論化できないかなぁって妄想してます。