防災研究室

大規模河川氾濫に対する広域避難に関する研究

大規模河川の氾濫の発生が予測されると、市内全域に避難勧告が発令されるケースがあります。盆地のように洪水が滞留し、さらに浸水深が3mを超えるような地域では、人命確保のためには二階へ避難することによる屋内安全確保ではなく、事前の立退き避難が必要です。とくに要配慮者は、早期に市外の安全な福祉施設へと避難させることが要求されます。このように市町村境界を超えた避難を可能とするには、当該市町村のみならず、近隣市町村、都道府県、国交省、消防、警察等の河川管理者、防災関係機関による連携を前提とした広域避難計画を立案しなければなりません。また、各機関間の情報共有が不可欠でです。
 そこで、被災市、被災自治体を支援する市町、そして県の防災部局、建設部局、県警本部、国交省河川管理者、広域消防本部等の支援機関の3つのグループに分類し、事前の信頼関係づくりを、
BECAUSEモデルのBEのプロセスとして実施しました。つぎに大規模河川氾濫に対する広域避難を実現する効率的な後記連携体制作りに、BECAUSEモデルのAUSのプロセスを適用しました。そして最後に、構築した広域避難体制の有効性検証のための災害図上訓練を、BECAUSEモデルにEのプロセスとして実施しました。また、機関間の情報共有に、災害対応管理システムを適用しました。その結果、BECAUSEモデルの各プロセスにおいて、各グループは当初に設定した目標を達成し、実証実験を通して広域連携体制の重要性に気づくことができました。また、広域連携に災害対応管理システムの導入が有効であることを確認しました。

 
             参加した機関の連携関係                       自動車専用道路に避難した住民

           甲府市の災害図上訓練(Understanding)            関係機関の参加するワークショップ(Solution)

 

              広域避難実証実験(中央市災害対策本部)             広域避難実証実験(甲府市災害対策本部)