防災研究室

官学民協働の水害に強い街づくりのための

リスクコミュニケーション手法の構築

【背景・課題】

リニア新幹線山梨駅は、山梨県甲府市大里地区に建設される予定である。大里地区は水害常襲地帯であり、とくに新駅の建設予定地である大津は毎年のように内水氾濫に見舞われ、水害対策は同地区にとって喫緊の課題である。こうした中、地区の住民と民間企業が特定非営利活動法人おおさと街づくりネットワーク(以下、「NPO」という)を設立(H27.8.27)し、水害に強い街づくりを目指した取り組みをスタートさせており、行政と住民・企業が連携して水害に強い街づくりを進めるための環境が醸成されてきている。一方、水害に強い街づくりには両者の適切なコミュニケーションが不可欠であるが、NPOには水害リスク、治水、防災・減災、地域計画等の知識が不足しているため、両者が水害に強い街づくりについて適切に意思疎通する手法の構築・適用が必要となっている。

【目的】

NPO、行政、大学等が災害に強い街づくりについて適切に意思疎通を図るためのリスクコミュケーション手法を構築・実践し、リスクコミュニケーションのプロセス、結果をとりまとめ、水害に強い街づくり基本構想の立案を促進することを目指すものである。

【調査・研究内容・成果】

効果的な水害リスク情報の提示による状況認識の統一を図りながら、リスクコミュニケーション手法を、研究代表者の提案するBECAUSEモデルを用いて設計し、BE(事前準備)を行い、C(信頼)を確保しながら、A(気づき)、U(理解)、S(受諾、解決)、E(実行)のプロセスの実践により手法の有効性を実証すると共に、結果をとりまとめ、水害に強い街づくり基本構想の立案のための基本指針を提案する。

【研究成果の河川・都市・下水道行政への反映】

災害に強く、地区の活力を高める街づくりの基本構想が地区から提案され、今後のリニア新駅周辺開発計画の策定が加速されるともに、伝統的な治水工法等を用いた流域管理と近代的な街づくりを調和させた新たな地域計画策定が促進される。