■自己紹介


こんにちは、2007年12月から早川研究室の助教になりました山村です。
このページではこれまでに私が携わった研究について簡単にご紹介させていただきます。
また、技術士補(生物)の資格を持ってますので、受験してみたい人はご相談ください。

1.東海大学開発工学部(1995年4月〜1999年3月)での研究概略

1) 黒鉛を用いた微生物の生育促進機構に関する研究

  黒鉛などの炭素材料は生体に対して親和性が高いことが経験的に知られていたが、その機構に関しては明らではなかった。そこで、微生物細胞を用いて黒鉛の生育促進効果を確かめたところ、致死的ストレス条件下での生育を示し、その効果は物理的隔壁が存在していても有効であること確認した。


2.山梨大学博士前期および後期課程(1999年4月〜2004年9月)での研究概略

1) ショ糖密度勾配遠心法による希少放線菌Nocardia属の選択分離法の開発

Nocardia属放線菌は広く自然界に分布し、抗生物質などの生産菌として重要である。しかし、この属の有効な選択分離法は未だ報告されていない。そこで、この属の選択分離法の開発を行った。様々な予備実験の結果からショ糖密度勾配遠心法を用いることによって土壌中の主要な放線菌であるStreptomyces属とNocardia属を分別し、10倍以上の効率で選択分離を実現した。

2) 遺伝子多型解析法の希少放線菌生態学および有用株探索への応用に関する研究

ショ糖密度勾配遠心法を土壌や水圏試料に適用した結果、土壌と水圏ではNocardia属放線菌は種レベルで分布多様性が異なることを明らかとした。更にN. asteroidesの株レベルでの多様性をrepetitive extragenic palindromic (rep)-PCR法を用いて調べたところ、土壌と水圏由来の分離株はそれぞれ株レベルで多様性が異なることを見出した。一方で、水圏試料から得られた分離株をNocardia属の新種であると同定し、新種Nocardia takedensisとしてIJSEM誌に掲載された。

3.製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部での研究概略 (2004年10月〜2007年11月)

1) Mycobacterium属の選択分離法の開発

 Mycobacterium属放線菌は石油成分の分解やP450の探索源として産業上有用であることから選択分離法の構築が望まれている。我々は偶然にもこの属がSDSで乳化されたオイルを特異的に解乳化することを見出し、この現象を土壌中のMycobacterium属の選択分離法に応用することに成功した。得られた分離株は16S rDNAの塩基配列から約10種におよぶ迅速生育性のMycobacterium属であると同定した。

2) Nocardia amamiensisの新種提案

鹿児島県奄美大島のサトウキビ畑から得られた分離株TT 00-78は16S rDNAの系統解析からNocardia属であると推定された。化学分類学的な試験を行ったところNocardia属であると同定され、交雑試験や生理性状試験によって新種と同定し、Nocardia amamiensisと命名してIJSEM誌に掲載された。

3) 海外微生物探索

 これまで、インドネシアで1050株、モンゴルで400株の放線菌の分離を現地の研究者と共に行ってきた。16S rDNAを用いた系統解析の結果、non-Streptomyces属における新種の割合は3割前後であり、微生物資源として新規性が高いことを明らかにした。また、アジア各国の研究者との分類学的研究に関する共同研究行ってきた。

4) I型PKS遺伝子に基づいた新規な菌株識別法

 I型PKS遺伝子は種々のドメインから構成されるモジュール型遺伝子であり、ドメイン構成が抗生物質の構造を決定している。そこで、ドメイン構造の多型を検出するためKSドメイン間を増幅するフィンガープリント法を開発した。これによって二次代謝遺伝子に基づいて菌株を識別することを可能にした。