本研究室の専門は“物性化学”です。 ここでいう物性とは固体の物理的性質、その中でも特に電気的性質や磁気的性質に興味の視点があります。私どもの研究テーマの一つは、有機超伝導体の単結晶育成とその物性評価です。物質開発をする過程で、絶縁体を超伝導体にしたり、逆に超伝導特性を壊したりすることで、超伝導が発現するメカニズムの解明や、新規物性の発現をめざすものです。
有機伝導体は、一般的に電気化学的酸化還元法(電解法)という手法で単結晶を育成します。電解法はその育成過程そのものに一種の原料精製プロセスを内包しており、また通常室温程度の低温環境で育成することから、不純物やボイドといった格子欠陥の少ない良質の単結晶を比較的容易に得られる利点があります。
有機伝導体の結晶には、組成比が同じでも物性の大きく異なる多形構造(主にドナー層の積層構造が異なる物質)が多数存在しています。このような構造多様性は有機伝導体が多彩な物性を示す重要な特徴をもたらす一方で、ねらった構造を持つ単結晶をつくり分ける、ということについては実は容易ではありません。溶媒の種類や電流・電圧値等の育成条件によって、ある程度はつくり分けが可能なものの、結晶核形成の制御となると未知の領域です。
本研究室では電解法による結晶育成を中心に、有機伝導体の基礎研究から応用に至る課題に取り組んでいます。
 



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