質量分析 研究室 MS-LAB

1. Introduction 研究内容
質量分析法(MS)とは、分子または原子をイオン化し、それらの質量電荷比(m/z)を測定する分析法である。
我々は質量分析の基礎・応用研究、及びその関連技術の開発を行っている。
Field of Research 研究分野
- Fundamentals & applications of Electrospray エレクトロスプレー(静電噴霧)の基礎・応用
- Development of Ionization method/source イオン化法・源の開発
- Fundamentals & applications of MS 質量分析の基礎&応用研究
- Surface analysis using MS 質量分析を用いた表面分析
Active research themes 進行中の研究テーマ
- Super-atmospheric pressure ES 超大気圧エレクトロスプレーの特性・新規応用
- High-temperature ESI 高温エレクトロスプレーの特性・新規応用
- 高圧エレクトロスプレーを用いた帯電ナノ液滴のサイズ制御とその応用
- Ambient mass spectrometry アンビエント質量分析を用いた生体分析
2. About Mass Spectrometry 質量分析について
Mass 質量
- 日常的な物の質量・重量は天秤、 ng~fgレベルの薄膜や微粒子は振動子の固有周波数の変動で測れるが、分子レベルまでの測定は難しい。
- 近年、振動子を用いて、ゼプトグラム(zg)領域まで測定できたという報告がある。
- 一方、電子や元素の同位体の質量電荷比は100年以上も前に測定された。

Mass-to-charge ratio 質量電荷比
- 質量分析では、分析対象物を原子または分子レベルまで細分化してイオン化させ、そのイオンの質量電荷比(mass-to-charge ratio m/z)を電場のみ、または電場と磁場の両方を用いて測定する。
- 質量分析という名称のため誤解されやすいが、測定さてるのは kgのような質量ではなく、質量電荷比である。
- 現在市販されている高分解能質量分析計では, m/z 1000程度のイオンに対し、m/z 0.001以下のオーダーまで精密に測定でき、分析化学、ライフサイエンス、表面分析などの分野で活用されている。
Mass Spectrum マススペクトル

Examples of MS measurement 質量分析の測定例

- 測定結果のマススペクトルは、横軸にイオンの m/z, 縦軸にイオン信号強度として示される。
3. Mass spectrometer 質量分析計
Time-of-Flight MS 飛行時間型質量分析計

- 質量分析計の一種
- 加速させたイオンの飛行時間を計測することにより対象の質量電荷比を測定する。
- One type of mass spectrometer
- The m/z is determined by acquiring the time-of-flight of ions in the field free region.
他の質量分析計


四重極&オービトラップ質量分析計. Figures by Omata 2023
Demonstration using AP-MS 大気圧質量分析計を用いた測定例)
Watch on Bilibili
- イオン化法:針に高電圧を印加して、コロナ放電による大気圧化学イオン化
- 質量分析計:イオントラップ
- Ion source: APCI using DC corona discharge
- MS: Linear Ion Trap
テロ対策への応用例:

4. Electrospray エレクトロスプレー
Intro はじめ
- Also known as electrotatic spray, electrohydrodynamic spray. It is also related to electrospinning.
- 静電気噴霧とも言われる。
- エレクトロスプレー(Electrospray)は静電噴霧とも呼ばれ,導電性を持つ溶液に過剰電荷を加えて,電場の下で液滴ジェットと噴霧を起こす手法である。
- 一般的には,金属製のキャピラリーに試料を含む溶液を流し,対向電極との間に高い電位差をかける。電場がないとき,キャピラリーの先端に形成される液体の形状は表面張力により球状になる。
- キャピラリーに電圧を印加し,その先端と対向電極の電位差がある閾値を越えると,液面のクーロン斥力と表面張力のバランスが崩れ,過剰電荷が帯電液滴ジェットの形で放出される。閾値電圧は電極形状や電極間距離などによって異なるが,それらの条件が一定のとき,エレクトロスプレーの閾値電圧は表面張力に依存する.
- エレクトロスプレー現象は電気が発見された当時,すでに観測されていた。近年でも,高速カメラや流体力学のシミュレーションにより,その現象の物理について詳細に研究されている。
- また質量分析以外においても,ナノ繊維,薄膜の形成,宇宙での推進器,など幅広く応用されている。

Positive-mode のエレクトロスプレーの模式図 (Figure reproduced by Omata 2023)
エレクトロスプレーの写真

図に幅4 nsの短パルスレーザを照明して撮影した写真を示す。
ES in action 静電気噴霧の動画
従来のエレクトロスプレー
Watch on Bilibili 1
Watch on Bilibili 2
High-pressure Nano ESI in action 高圧ナノエレクトロスプレー
高い導電率を持つ水溶媒の場合
相対的に低い導電率を持つ水溶媒の場合
5. MS Lab 質量分析実験室(B2-117)
Location of the lab: B2号館-117号室
Lab Tour 質量分析計&実験室の入り口
Lab Tour 実験室の風景
Watch on Bilibili
6. 解説論文
表面技術学会誌: エレクトロスプレーを利用する質量分析技術

pdf ダウンロード:表面技術 2021 年 72 巻 3 号 p. 162-168
Erratum 正誤表
page 43:

page 46:

両極性エレクトロスプレー
