【一般書】風の歌を聴け

村上春樹氏の第一作である,1979年に公開された長編小説です.

 

言うまでもなく,村上春樹は現代の日本人作家の代表格の一人であり,デビューから約40年が経った現在もなお執筆を続けています.

その作風は時代の雰囲気や作者の考えの変遷に応じて少しずつ変わってきている中で,この第一作は非常に乾いた雰囲気で主人公の日常が描かれる,初期の長編や短編を代表する作品だと考えられます.

 

独特の言い回しも多く,格好をつけている・気障に構えている,という評価も多い本作品ですが,一方で多くの人から愛読されている理由の一つは,作品を通して徹底的に村上春樹自身の価値観を貫き通したことによって,(価値観そのものに対する共感は別として)マイノリティに属する価値観を持った人にある意味で寄り添った作品として受け入れられたからではないかと考えます.

2018年08月04日