まちづくりと地域資源、そして観光

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世界各地、そして日本各地を歩くと、実に多様な生活や文化に出会うことができます。それは、もとより地域に住まわれている方々が生活し、生業を営まれるなかで、意識せずとも育まれてきたものです。

こうした生活や文化は、多くの場合、無意識に受け継がれてきたものなのかもしれません。しかし、現代日本において、地方の過疎化・高齢化などに象徴される「地域社会の「縮小」」は現代日本においてはもはや避けがたい事実であり、それゆえに失われつつある生活や文化があることもまた事実です。また、社会が均質化されるなかで失われつつある地域独特の文化もあります。

しかし、きっとそれを意識的に失おうとしている方はほとんどいないはずです。

時代の推移の中でやむなく失われつつある地域の生活や文化、あるいは地域の活気は、多くの人のフラストレーションにつながり、時として行政・政治などへの不満へとも転嫁されている気がします。

こうしたなかで、真に「豊か」な社会をつくるにはどうすればよいのでしょうか。「豊か」というのは経済的な豊かさだけではありません。精神的な豊かさ、文化的な豊かさなど、多様な豊かさです。

時代の変化の中で生活や文化が失われつつあるからこそ、私たちは、それをときに「文化遺産」や「文化資源」、あるいは「地域資源」と呼んだりします。また、「観光資源」として「活用」したり、あるいは、「まちづくり」「地域づくり」につなげていこうとします。

「地域資源の活用」とそれを通じた地域づくり、観光地づくりは、地域が受け継いできた生活・文化、あるいは地域の楽しみや多様性を次の世代に受け継ぎ、現代に最適なかたちで育んでいくための「仕掛け」なのではないでしょうか。

「観光まちづくり研究室」の目指すこと

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山梨大学観光まちづくり研究室では、地域資源のマネジメント、あるいはそれを活かした地域づくり・観光地づくりの理論と方策を研究し、またときに実践することで豊かで持続可能な社会の形成に資することを目指しています。

したがって、「地域資源の保護・活用」も「観光」も、そのこと自体が<目的>ではなく、地域の豊かさを未来に受け継ぎ、育むための<ツール>であると考えています。

例えば、本来、地域にありふれている生活や文化が「資源化」されること。 それは地域に対してどのような意味があるのでしょうか。

また、地域資源の保護や活用は、地域に対し、あるいは社会に対し、どのような利益、不利益を生み出すのでしょうか

こうした問いに向き合いながら、地域の豊かさや多様さを次の世代に受け継ぎ、あるいは育むための「仕掛け」が<目的化>するのではなく、豊かな地域を育むための<ツール>となるような理論と手法を追究しています。

そして、多様な利益や価値観念のなかで地域資源マネジメント、あるいは観光地域マネジメントの理念や手法を考察し、地域にとっても、観光客など地域外にとっても魅力ある地域の形成に貢献しきたいと考えています。

これまでの取り組み

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研究室では、基礎的な調査研究に加え、文化遺産をはじめとする地域資源の保護(価値調査)やマネジメント(計画策定や具体的取り組み)、観光資源づくりなどについて地元自治体や地域と連携した調査研究や実践等も進めています。




□「勝沼のブドウ畑とワイナリー群の文化的景観」価値調査(平成28年度〜)
*甲州市・山梨大学(菊地研究室)共同研究(文化庁国庫補助事業)(平成28年度〜)
*山梨大学地方創生支援教育研究プロジェクト「県内所在の文化的景観の総合的把握と重点調査に基づく“景観を語る”観光教育プログラムの検討」(平成28年度採択)
*山梨大学地域連携事業支援プロジェクト「甲州市における文化的景観の調査と保全」(平成29年度採択)
*文部科学省科学研究費助成金(若手研究(B))「果樹に関する文化的景観の価値分析・評価手法の体系化」(平成29年度〜平成32年度)の一部


□鳴沢村における着地型・滞在型観光地のための観光資源調査及び観光地域計画の策定/6次産品などの提案(平成29年度〜)
*山梨県町村会・鳴沢村との連携事業(平成29年度)
*山梨大学地域課題解決科目の一環としても実施
*山梨大学地方創生支援教育研究プロジェクト「農村資源を活かした回遊性・滞在性の高い観光地域づくりの検討ー鳴沢村及び山梨市における学生参加型プロジェクトの実践と県外先進地域との比較研究を通じてー」(平成29年度採択)
*山梨県町村会・山梨大学リレーシンポジウム「アグリツーリズムの実践から:鳴沢村への提案」(2017年11月18日、なるさわ富士山博物館 フジエポックホール)
*鳴沢村・山梨大学(菊地研究室)共同研究「鳴沢村における地域資源の観光活用手法・体制に関する調査研究」(平成30年度)


□勝沼歴史的風致&文化的景観散策(平成28年度〜)
*甲州市教育委員会との共同企画
2016年12月18日開催  チラシ  報告
2017年6月25日開催  チラシ  報告
2017年8月20日開催  チラシ  報告
2018年3月25日開催  チラシ  報告


□勝沼写真展「勝沼の時代を写す。」
*甲州市教育委員会と共催
2018年8月12日〜31日開催(近代産業遺産 宮光園 白蔵)
チラシ


□山梨市における「農泊」推進のための観光資源等の調査及び重点整備地域の提案(平成29年度〜)
*山梨市・山梨市ふるさと振興機構との連携事業
*山梨大学地域課題解決科目の一環としても実施
*山梨大学地方創生支援教育研究プロジェクト「農村資源を活かした回遊性・滞在性の高い観光地域づくりの検討ー鳴沢村及び山梨市における学生参加型プロジェクトの実践と県外先進地域との比較研究を通じてー」(平成29年度採択)


研究室刊行物

『ブドウ郷のヒミツを解き明かせ』(小中学生向けミニブック)
甲州市教育委員会文化財課・山梨大学観光まちづくり研究室編集/平成30年
(山梨県立博物館事業)
PDF(A3で印刷)


『「勝沼のブドウ畑とワイナリー群の文化的景観」パンフレット』
甲州市教育委員会文化財課・山梨大学観光まちづくり研究室編集/平成30年
PDF(見開き)   PDF(単ページ)


『鳴沢村における農村資源を活かした観光地域づくりの提案』
山梨大学観光まちづくり研究室編集/平成29年