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 カマツカ類の進化系統  > カマツカ類系統①

説明文の1

脊椎動物の種数の半数近くが魚類であり、その魚類の3分の1(42.7%)が淡水魚。淡水魚の中、コイ目・ナマズ目・カラシン目が主要なグループである。  

説明文の2

コイ目は、南アメリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸や、ゴビ砂漠・サハラ砂漠以外の全域に生息しています。ナマズ目はオーストラリア大陸・南極大陸以外の大陸に生息しているが、コイ目ほどは分布域は広くない。カラシン目は、主に南アメリカ大陸とアフリカ大陸に生息する。コイ目は、種数・分布域ともに淡水魚の中で最大といえる。  

  

説明文の3

コイ目魚類のほとんどは河川を利用して分散する。河川の形態は、土地の隆起・沈降や海水面の上昇・下降などの地理的要因によって変化するため、コイ目魚類の分散は地理的要因と深い関係がある。種数が多く世界に広く分布していることと、河川を利用して分散することにより、コイ目魚類は、種分化や適応放散のメカニズム、生物から見た古地理を明らかにするための有力な材料となる。  

説明文の4

世界に広く分布しているコイ目の中で、日本にはコイ科・ドジョウ科・タニノボリ科が生息している。中でもコイ科は、コイ目同様種数も多く、世界に広く分布しており、日本人にも身近な存在である。  

説明文の5

これまでにも、コイ科魚類は比較解剖学、生物地理学、生態学、骨学、進化分類学などの様々な分野から分類が行われてきたが、研究者によってコイ科を何亜科とするかという結果が異なっている。    

説明文の6

これは、コイ科魚類が世界に広く分布するため、網羅的なサンプリングが困難であること、さらに種数が多く多様な形態を持つため、研究者ごとに扱う形質が異なることが原因である。この問題を解決するために、コイ科の中の亜科や属などの小さなグループに対象を絞り、そのグループ内を解析する必要がある。そこで、本研究では、採集が比較的容易であり、日本を含むアジアを中心に繁栄しているカマツカ類を対象とした。    

説明文の7

日本には9属16種3亜種のカマツカ類が生息している。 大きさや生態的・形態的形質は多様である。

説明文の8

以前カマツカ類を定義するのに用いられていた6つの形質である。この形質はカマツカ類だけがもつ形質ではなく、コイ科魚類が基本的にもっている形質で、この形質に基づいて研究を進めても系統関係を明らかにすることはできない。    

説明文の9

カマツカ類についても、多くの研究者が分類に関する研究を行ってきたが、どの属をカマツカ亜科に含めるのかは研究者によって異なっている。    

説明文の10

Hosoyaは、形態的・生態学的特徴に基づき、カマツカ類を狭義のカマツカ亜科・ヒガイ亜科・モロコ亜科の3亜科に分類した。さらに、狭義のカマツカ亜科のうち、半底生生活を行うものをグループ1に、完全底生生活を行うものをグループ2に分類した。 よび核DNAの両方を基に構築した系統樹。種間、集団間の関係の信頼性が向上した。    

説明文の11

タモロコにおいて当研究室で決定した塩基配列と、先行研究でTangらが報告した塩基配列の間で、一致率が90.5%(1045bp)となる問題があった。ここでいう塩基配列の一致率とは、2つの塩基配列を比較し、どれだけ一致しているかということを表している。一致率90.5%ということは、つまり、タモロコ同士の塩基配列に約10%の違いがあるということ。同一種において塩基配列の変異が10%近くもある例はほとんどない。信頼性のある系統関係を示すために、この問題の解決が必要不可欠となった。    

説明文の12

近年では、2種のカマツカ類において、新たに種内系統が報告されている。Kakiokaらは日本に生息するモロコ亜科が、ホンモロコ、長野から本州西端、四国に分布するタモロコE1グループ、伊勢湾、琵琶湖周辺に分布するタモロコE2グループ、長野県諏訪湖周辺に分布するタモロコE3グループの4つに分かれ、タモロコは3つの種内系統に分かれると報告した。    

説明文の13

また、Tominagaらは、日本に生息するカマツカ類を代表する種であるカマツカが、本州西部、四国、九州に分布するグループA、東海・瀬戸内地方に分布するグループB、東日本全域に分布するグループCの3グループに分かれると報告した。    

説明文の14

以上のことより、本研究では、当研究室で過去に決定したタモロコの塩基配列と先行研究であるTangらが報告したタモロコの塩基配列の一致率が著しく低いという矛盾点を解決し、信頼性のある系統関係を示すとともに、KakiokaらやTominagaらにより新たに種内系統が報告されたタモロコ・カマツカを含めた日本カマツカ類の系統関係を明らかにすることを目的としました。    

説明文の15

本研究では、Hosoyaの分類に基づき、狭義のカマツカ亜科から5属9種1亜種    

説明文の16

ヒガイ亜科から3属5種2亜種、モロコ亜科から1属2種を用いた。    

説明文の17

韓国で採集されたカマツカ類。韓国に生息するカマツカ類のうち10種を解析した。また、DBからカマツカ類の塩基配列を引用した。