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 カマツカ類の進化系統  > カマツカ類系統②

説明文の1

Cyt-b遺伝子1014bpに基づいて構築した系統樹。全ての系統樹において、アウトグループはウグイ亜科のアブラハヤを用いた。Cyt-b系統樹では、狭義のカマツカ亜科は単系統群を形成しなかった。一方、モロコ亜科とヒガイ亜科は単系統群を形成した。狭義のカマツカ亜科のグループ1とグループ2は各々単系群を形成した。  

説明文の2

COI遺伝子456bpに基づいて構築した系統樹。COI系統樹では、狭義のカマツカ亜科とヒガイ亜科は単系統群を形成しなかった。一方、モロコ亜科は単系統群を形成した。狭義のカマツカ亜科のグループ1とグループ2は各々単系群を形成しなかった。  

  

説明文の3

Cyt-b遺伝子とCOI遺伝子の塩基配列を合わせた1470bpに基づいて構築した系統樹。Cyt-b+COI結合系統樹では、狭義のカマツカ亜科とヒガイ亜科は単系統群を形成しなった。一方、モロコ亜科は単系統群を形成した。また、ヒガイ亜科+モロコ亜科が単系統群を形成した。狭義のカマツカ亜科のグループ1とグループ2は各々単系群を形成した。  

説明文の4

Tominagaら、Kakiokaらのデータを含めたカマツカ類62個体を用い、Cyt-b遺伝子502bpに基づいて構築した系統樹。比較した塩基配列の長さが上述のCyt-b系統樹よりも短いのは、先行研究で決定された配列が短いため。赤枠で囲ったモロコ亜科とカマツカ亜科に注目する。

説明文の5

本研究で解析した茨城県大円寺川産のタモロコは、長野県から本州西端・四国に分布するE1グループに属した。山梨県貢川産と山梨県八糸川産のタモロコは長野県諏訪湖周辺に分布するE3グループに属した。    

説明文の6

滋賀県琵琶湖産と岡山県産のカマツカは、本州西部・四国・九州に分布するグループAに属した。茨城県産と福島県産のカマツカは、東日本全域に分布するグループCに属した。    

説明文の7

本研究で得られたCyt-b系統樹とCOI系統樹において、Hosoyaが生態的特徴をもとに分類した狭義のカマツカ亜科のグループ1とグループ2は支持された。しかし、全ての系統樹において、狭義のカマツカ亜科は単系統群を形成せず、細谷が形態学的に分類した狭義のカマツカ亜科は支持されなかった。

説明文の8

形態学的特徴に基づいたHosoyaの結果と、遺伝学的解析を行った本研究、Liuら、Tangらの結果を比較した。Hosoyaはカマツカ類を狭義のカマツカ亜科、モロコ亜科、ヒガイ亜科の3亜科に分けた。しかし、遺伝学的解析を行った本研究とLiuら、Tangらは、カマツカ類をニゴイ属+スゴモロコ属、カマツカ属+ツチフキ属+ゼゼラ属、タモロコ属+ヒガイ属+モツゴ属+ムギツク属をそれぞれ1つの分類群とした。    

説明文の9

Hosoyaの提唱した狭義のカマツカ亜科グループ1と2は支持されたが、狭義のカマツカ亜科は支持されなかったことから、狭義のカマツカ亜科は1つの分類群として扱うことはできないと考えられる。Hosoyaの提唱したモロコ亜科+ヒガイ亜科は1つの単系統群を形成したことから、これを1つの分類群として扱うべきであると考えられる。    

説明文の10

タモロコのCyt-b遺伝子の塩基配列502bpに基づいた一致率。茨城県産とTangらの塩基配列は、1個体に基づくためため、一致率は算出していない。赤色で示したものの一致率は非常に高く、青色で示したものの一致率は低かった。本研究で解析した茨城県産のタモロコとE1グループのものとの間、Tangらの報告した琵琶湖産のタモロコとE2グループものとの間で、高い一致率が見られた。一方で、茨城県産のタモロコとTangらの琵琶湖産のタモロコの間、山梨県産のタモロコとTangらの琵琶湖産のタモロコ間での一致率は低い値を示し、種内系統の中でも非常に大きな遺伝的差異があることが明らかになった。    

説明文の11

長年当研究室で問題視されてきた、タモロコにおける当研究室とTangらの研究結果の不一致は、解析に用いていたタモロコがそれぞれ遺伝的に大きく異なる種内系統に属していたためであることがわかった。グループ間の遺伝的差異が非常に大きいことから、別種である可能性が示唆された。    

説明文の12

カマツカのCyt-b遺伝子の塩基配列628bpに基づいた一致率。赤色で示したグループ内での一致率は非常に高い値を示した。しかし、青色で示したグループ間の一致率が    

説明文の13

韓国産のサンプルおよびデータベースの塩基配列を加えて構築したカマツカ類のCyt-b系統樹。太字および産地名の付いているサンプルは、本研究で決定した配列。    

説明文の14

韓国産のサンプルおよびデータベースの塩基配列を加えて構築したカマツカ類のCOI系統樹。太字および産地名の付いているサンプルは、本研究で決定した配列。    

説明文の15

S7の塩基配列に基づいて構築した系統樹。すべての配列を本研究で決定した。    

説明文の16

Cyt-bとCOIの塩基配列を結合させて構築した系統樹。    

説明文の17

Cyt-b、COI、S7の塩基配列を結合させて構築した系統樹。

説明文の18

COI、S7の塩基配列に基づくそれぞれの単独の系統樹およびCOI+S7系統樹は、信頼性が低かったため、Cyt-b、Cyt-b+COI、Cyt-b+COI+S7系統樹について考察した。    

説明文19

Hosoya (1986) の示す系統関係と比較するために、本研究で得られた系統樹からHosoyaが扱っていない属を除いたもの。ムギツク属とモツゴ属およびコブクロカマツカ属の一部とゼゼラ属は、全ての系統樹において高い信頼性をもって姉妹関係を形成したため結合して示す。Hosoyaの狭義のカマツカ亜科に含まれる属はどの系統樹でも単系統群を形成しなかった。狭義のカマツカ亜科の亜科としての妥当性は低いと考えられる。    

説明文の20

タモロコ属(ピンク色で示す)は単系統群を形成しており、当然モロコ亜科も単系統群を形成した。Cyt-bおよびCyt-b+COI系統樹では、タモロコ属はヒガイ亜科であるムギツク属とモツゴ属に近縁となった。Cyt-b+COI+S7系統樹では、タモロコ属のサンプルが1種のみであるため、正確な系統関係は明らかにできなかった。

説明文の21

ヒガイ亜科に含まれるヒガイ属、ムギツク属、モツゴ属を黄色で示す。Cyt-bおよびCyt-b+COI系統樹では、ムギツク属とモツゴ属が同じヒガイ亜科であるヒガイ属よりも、モロコ亜科のタモロコ属に近縁となった。タモロコ属、ムギツク属、モツゴ属、ヒガイ属を1つのグループとして扱うことも可能だが、その信頼性は低かった。Cyt-b+COI+S7系統樹では、ヒガイ亜科が単系統群を形成した。

説明文の22

狭義のカマツカ亜科では、Hosoyaはニゴイ属、スゴモロコ属、ゴビオ属(緑色で示す)がグループ1を形成するとしたが、ニゴイ属とスゴモロコ属は1つのグループとして扱えるが、ゴビオ属と他の属との系統関係は明らかにならなかった。

説明文の23

Hosoyaはカマツカ属、コブクロカマツカ属、ゼゼラ属、ツチフキ属、トカゲカマツカ属、ドジョウカマツカ属(青色で示す)は狭義のカマツカ亜科のグループ2を形成するとしたが、これらの属はCyt-b系統樹のみで単系統群を形成した。Cyt-b+COIおよびCyt-b+COI+S7系統樹では、系統関係が明確でないゴビオ属やタモロコ属を除いた場合、ドジョウカマツカ属を除いてグループ2は妥当であると思われる。

説明文の24

ゼゼラ属を紫色で、ツチフキ属のヒメツチフキを水色で示す。Cyt-bおよびCyt-b+COI系統樹では、ゼゼラ属・ヒメツチフキともにコブクロカマツカ属に内包された。コブクロカマツカ属の単系統性は高い信頼性をもって支持された。Cyt-b+COI+S7系統樹では、ゼゼラ属はコブクロカマツカ属に内包されなかったが、他2つの系統樹で扱っているMicrophysogobio 属やM.elongatusなどが含まれていないので、前述の結果と矛盾しない。

説明文の25

ムギツク属とモツゴ属は単系統群を形成したが、ヒガイ属を含んだヒガイ亜科の単系統性は明らかにならなかった。モロコ亜科は単系統群を形成したが、その系統分類学的位置は明らかにならなかった。狭義のカマツカ亜科は単系統群を形成しなかった。グループ1に含まれる3属のうち、ニゴイ属とスゴモロコ属は1つのグループを形成したが、ゴビオ属の系統学的位置は明らかにならなかった。グループ2では、ドジョウカマツカ属を除き他の属は信頼性は低いが1つのグループを形成した。ゼゼラ属とヒメツチフキは、コブクロカマツカ属とともに1つのグループを形成した。